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米兵豪女性暴行 地位協定の改定しかない2008年7月27日 
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 いつまで、このような悲劇が繰り返されるのだろう。犯罪自体もむろん許せない。さらに不可解で見過ごせないのが、容疑者が分かっていながら処罰もされず普通の生活を送っていることだ。それも民主主義国家の優等生を自負する米国で。これを見逃す日本政府の責任も重い。 2002年4月、神奈川県横須賀市内で自家用車に乗り込もうとしたオーストラリア出身のジェーンさん(仮名)。米空母キティーホークの乗組員に、いきなり暴行を受けた。事件の直後に米憲兵隊が米兵の身柄を拘束したものの同年7月、横浜地検は理由を明らかにしないまま不起訴処分にしている。さらに、米海軍の予備尋問でも「軍法会議は不要」と判断し、米兵は処罰を逃れている。
 その後、ジェーンさんは民事訴訟を起こし、東京地裁は04年、原告の訴えをほぼ全面的に認めて、米兵に慰謝料など300万円の賠償を命じた。ところが、米兵はその審理中に除隊し、米本国に逃げ帰っていた。賠償金も支払わないままだ。その際、ジェーンさんは米軍に被告米兵の名前や住所などの情報を求めたが拒否されている。
 米政府も国内法を持ち出して時効を理由に支払いを拒否した。日米地位協定では、公務外で事件事故を起こした米兵に支払い能力がない場合「本人に代わって米政府が補償金を支払う」と規定しているにもかかわらず、である。
 今年の5月、日本政府が見舞金として300万円をジェーンさんに支払っているが、米政府に求償は求めないという。これもおかしな話だ。日本国内の犯罪で自国の国内法を持ち出す米側。これに反論もできない政府の態度は、大いに批判されてしかるべきだろう。
 沖縄県民にとっては、つい最近まで日常的に見られた光景ではないか。民間地域で犯罪を起こした米兵が基地内に逃げ帰り、そのまま行方をくらます。県民はどれだけ泣き寝入りをさせられて来たことか。復帰前の、あの異常な状態が、基本的には今も変わっていない。しかも、日本本土まで、このような状態が続いているのだ。
 ジェーンさんは25日、加害者の所在を米本国で確認した、と発表した。ウィスコンシン州で仕事を持ち、家族と共に普通の市民として暮らしているという。
 1995年の少女乱暴事件を契機に凶悪犯罪については、起訴前に容疑者の身柄を日本側に引き渡すという日米地位協定の「運用改善」がなされた。しかし、今回の事件を見ても、これがいかに形だけのものか。はっきりしている。
 問題の解決には地位協定の改定しかないのは明らかだ。そのことは、95年の県民大会でも県民の総意として確認された。日米両政府は今こそ民意に応えるときだ。


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