航空自衛隊那覇基地の駐機場を補強整備することを防衛省が決めた。愛知県の小牧基地を母基地とする空中給油・輸送機KC767が着陸、給油できるようにするためだという。
より重い機体でも利用が可能になることから、那覇空港への軍用機の飛来が今よりも増えるのは確実だ。自衛隊施設の補強整備は「軍民共用」の危険性を増大させるものであり、県民の安全を守る観点から、容認し難い。
那覇空港では1985年5月、着陸直後の全日空ジャンボ機に、離陸しようと滑走路に進入した自衛隊機が接触、全日空機のエンジン下部がもぎ取られる事故が起きている。幸いけが人はなかったが、一歩間違えば大惨事を引き起こすところだった。
2005年5月には、着陸しようと降下した全日空機が、滑走路上にとどまっていた自衛隊機のせいで直前に上昇し着陸のやり直しを余儀なくされた。
同年9月には、自衛隊機の左主脚タイヤがパンク。約50分間滑走路が閉鎖され、民間機の運航に著しい迷惑を及ぼした。
いずれのケースも、那覇空港が「軍民共用」でなければ起こるはずもない。
離島県である沖縄は、他県とは比べものにならないほど航空輸送に多くを依存しており、空の安全を確保できるかどうかは、県民にとって死活問題と言える。
沖縄の玄関口が「軍民共用」であるがゆえに民間専用空港に比べて安全性が劣るとなれば、観光振興の面でも大きなマイナスだ。仲井真弘多知事が公約した「年間観光客1千万人」の実現にも悪影響を及ぼすだろう。
防衛省によると、3億円の事業費をかけて、より重量のある軍用機にも耐えられるように駐機場をコンクリートで舗装するという。9月ごろから測量調査などに着手し、09年度中に完成させる計画になっている。
「空中給油・輸送機を小牧基地だけで運用するのは不経済・非効率」と説明しているため、整備後は那覇基地からの運用が頻繁になると予想される。
そうなったときに懸念されるのが、民間航空機を巻き込んだトラブルの増加だ。防衛省は航空自衛隊の展開能力を向上させたいのだろうが、その分、民間機の安全な運航を妨げたのでは主客転倒と言わざるを得ない。
那覇空港は、本来なら1日も早く自衛隊を他に移して民間専用空港とすべきであって、基地機能の強化などもってのほかだ。
そもそも、既存の駐機場で何の不足があるのか。これまでに、何らかの支障が生じたことがあったのか。整備の必要性も極めて疑問だ。
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