1666年から約10年、摂政を務め、近世琉球王国の基礎をつくった人物といえば羽地王子朝秀だが、当の本人がそう名乗ったことは一度もない。名乗らないどころか、本人もその名を知らなかったはずだ
▼理由は簡単。後代になっておくられた名前だからだ。本来は羽地按司重家で、唐名の向象賢も本人が生きている間は呉象賢と呼ばれていた
▼王家の分家が姓を向に統一するのは1691年。向氏が名乗頭(名前の最初の文字)に朝の字を使うようになったのもそのころだ。王子の称号が許されたのも18世紀になってからだった
▼田名真之さんの著書「近世沖縄の素顔」を読んで初めて知ったことだ。沖縄でシーミー(清明祭)が広がったのも比較的最近だということもそう。知っているつもりで知らないことは数多い
▼沖縄大好き検定の公式ガイドブックが売れている。県内ベストセラーリストをみると主要書店のほとんどで軒並みベスト3に入る売れ行きだ。試みに巻末の例題を解いてみたら、見事に惨敗した。沖縄についての知識だけはそれなりに持っているつもりだったのが恥ずかしい
▼この本が売れているのは足元の歴史・文化への関心の高まりの反映だろう。「汝の足元を掘れ。そこに泉あり」。そう説いた伊波普猷も、県民の最近の動きには泉下でうなずいているかもしれない。
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