秋晴れの下、観光客でにぎわう首里城を訪ねた。新聞記者を目指す早稲田大の学生たちを戦跡へ案内するためだ。同僚と共に、63年前の沖縄戦のさなか、首里城地下の壕で沖縄新報が発行されていたことを説明すると、驚きの声が上がった
▼琉球新報など3紙が統合された沖縄新報は、日本軍(第32軍)が首里城地下の司令部を放棄する5月下旬まで発行。劣勢な戦況にもかかわらず、あたかも戦果を挙げているかのような報道をして読者に嘘をつき続けた
▼第32軍司令部が参謀部内に報道宣伝協議会を設置し、報道機関を完全に統制下に置いたからで、軍にとって都合の悪い情報は掲載できなかった
▼沖縄で敗れ「本土決戦」を前にしたとき、安倍源基内務大臣は沖縄戦の「戦訓」を記者団に語っている。新聞については「敵の砲爆撃下にありながら1日も休刊せず友軍の士気を鼓舞していることなども特記すべきである」(1945年6月29日付「読売報知」)とたたえた
▼戦後、米軍に尋問されたある沖縄新報記者は「明らかに間違ったと思われることについて、軍当局の意向に沿った記事の掲載を強要された」と証言している
▼戦争で最初に犠牲になるのは「真実」と言われる。ジャーナリズムが国家(公権力)を監視する役割を放棄したらどうなるのか。学生を案内しながら肝に銘じた。
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