かの悪名高い治安維持法違反に問われ、元雑誌編集部員らが言論の自由を奪われた戦時下最大の言論弾圧「横浜事件」の第四次再審請求で横浜地裁が再審開始を決定した。
獄死者4人。再審無罪判決を訴え続けた元被告約30人は無念のまま亡くなった。特別高等警察(特高)による拷問など忌まわしい国家犯罪の可能性が濃厚な事件だ。歴史の暗部に光を当てるべく再審の重い扉が開いたことになる。
地裁の決定理由はこうだ。自白は拷問によって強いられた虚偽の自白である。口述書の中のこの訴えに対し、地裁は「無罪を言い渡すべき新証拠」と認定。終戦直後に有罪判決を言い渡した横浜地裁の審理についても「拙速でずさんな処理」と断罪した。
さらに驚くのは、検事局を含む裁判所が「不都合な事実を隠そうとして記録を破棄した可能性がある」と踏み込んだことだ。
横浜事件をめぐる再審決定は第三次請求に続き今回が2度目。ただ第三次請求に基づく再審では一、二審とも実体審理は行われないまま、有罪か無罪かを判断せずに裁判を打ち切る「免訴」とし、今年3月の最高裁で確定した。
免訴とは、犯罪の後に刑の廃止か大赦があったときは実体審理をせずに審理を打ち切るというもので、今回も免訴の公算が大きい。
しかし、元被告や遺族らが求めているのは無罪判決だ。拷問の有無や自白の信用性などを実体審理を通じて明らかにし、事件は特高がでっち上げた虚構であることを証明することだ。
免訴では有罪確定は消せない。実体審理に入る以外に被告らの名誉回復の道はない。
裁判所の記録がないことを理由に第一次請求を退けた地裁判断を、今回の決定は「裁判所がとるべき姿勢ではない。証拠の再現に努めるのが裁判所の責務」とした。この伝でいけば、審理を尽くすことが裁判所の責務ということにならないか。
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