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性同一性障害 ジェンダー・医療・特例法2008年11月9日  このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録

性同一性障害 ジェンダー・医療・特例法

性同一性障害 ジェンダー・医療・特例法

編著:石田仁
出版社:御茶の水書房
定価:2940円
 世間には、手術を望まない性同一性障害(genderidentitydisorder:以下GIDと略)当事者、GIDで同性愛者、そしてGIDでない同性愛者が存在する。そのGIDについて、研究者や当事者が幅広い視点で書きつづったのが本書だ。
 第1章の総論は、性同一性障害の定義や歴史的背景や医療的な問題、そして法的問題と各テーマを読みやすく解説する。GIDの知識を得たい人にとって、入門編としてふさわしい。
 第2、3章は、性別に違和感を抱える人が特例法をどのように受けとめたかなどのアンケート結果と、その分析を行っている。第1次調査は1998年、第2次調査は2003年3月に実施しており、いずれも性同一性障害特例法(以下特例法と略)の施行前となっている。
 そのため、質問設計の不備やサンプル不足などにより分析を断念せざるを得なかった項目などがあったようだ。分析内容が多岐にわたり、少々読みにくい部分があったものの、GID当事者の生の声が分かり、興味深い。
 第4、5章のGID当事者の見解では、職場でのトイレに関する苦労や偏見など、具体的な話が登場する。
 第6章では、テレビドラマ「3年B組金八先生第6シリーズ」がFtM(女から男へ)を取り上げて以降、世間のGIDに対する知識の広まりと反響が大きくなったことを確認できる。わたしもGIDに関する講演を行う際、このドラマのビデオを使用している。上映後は、講演会場の空気が良い方へ変わるのを感じる。さらに、FtMと「レズビアンタチ」の差異化の記載も興味深い。MtF(男から女へ)とその辺縁群に関する記載があるとより良いだろう。
 第7、8章では、GIDや身体的な半陰陽(インターセックス)に対する治療と、それを受けた当事者の見解の相違などが、歴史的実例から具体的に示され、当事者の自己決定を優先する重要性を感じさせる。
 第9章は、男性が身体を女性化し、接客するブルーボーイ事件の争点を「本当の恋愛」や「しあわせをさばく裁判」と結論づけた点に新鮮さを感じた。
 最後は、特例法の問題点や個人の権利などをまとめており、同性婚の法的整備が、性的少数派すべての方々の人権問題の解決の1つになる可能性を感じた。
 (宮島英一・天久台病院精神科医)


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