琉球大学非常勤講師で理学博士の藤田喜久(よしひさ)さん(35)が2007年12月に南大東島の洞穴の地下水域から採取した甲殻類が、日本では初発見となるテルモスバエナ目の新種であることがこのほど確認された。同生物は主に、地中海と大西洋地域に分布しており、太平洋諸島地域でも初発見となる。WWF(世界自然保護基金)ジャパンの安村茂樹主任は「大東諸島が南半球で誕生し、移動してきたという『大東諸島移動説』を裏付ける“歴史の生き証人”となる可能性があり、生物地理学の観点からも極めて重要な発見だ」と指摘する。
今回発見された個体は体長約2ミリ。エビやダンゴムシなど甲殻類の仲間で、テルモスバエナ目ハロスバエナ属の新種。目では33種、属で3種が確認されている。北九州市立自然史・歴史博物館学芸員で理学博士の下村通誉さん(36)が新種であることを確認した。年明けにもニュージーランドの学術雑誌に記載される。
藤田さんは「小さな生物が、島の成り立ちを裏付ける材料にもなり得ることなど、あらためてそれらの価値に気付かされた。環境が悪化する中、目に見えない生物の生息環境を守ることの重要性を考えるきっかけにもなる」と強調した。
藤田さんらは18日から21日まで、WWFジャパンの生物多様性評価プロジェクトの一環として追加調査を行う。今後は島内の分布調査や繁殖の様子の確認、遺伝子解析など、さらなる研究を進める考えだ。
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