航空自衛隊がイラクでの多国籍軍などの空輸活動を終え、撤収を始めた。2006年の陸上自衛隊に続く空自の撤収で、04年から続いた自衛隊初の「戦地」派遣は約5年で終結する。
名古屋高裁は今年4月、自衛隊イラク派遣は憲法9条などに違反すると指摘したが、政府はそれを無視し、空輸活動を続けた。
司法の軽視は法治国家の否定にもつながる。強引な憲法解釈による“解釈改憲”も危うい。
イラク派遣終結を機に憲法上、疑義のある自衛隊「戦地」派遣を検証したい。
開戦の大きな理由だった「イラクが大量破壊兵器を保有している」との情報は、その多くが「誤りだった」と、ブッシュ大統領自身が05年に認めている。
米国に追随して「大義」のない自衛隊派遣に踏み切った責任を政府として総括するべきだ。
政府は、多国籍軍の駐留根拠の国連決議が年末で期限切れとなることなどを撤収理由に挙げるが、それだけではあるまい。相変わらずの対米追随姿勢が見える。
次期米大統領のオバマ氏は(1)16カ月以内のイラクからの戦闘部隊撤収(2)アフガニスタンに2個旅団増派―の方針を示している。それも影響しているのではないか。
政府・与党には米国に従って「テロとの戦い」をイラクからアフガニスタンにシフトしたいとの思惑があるだろう。
与党がインド洋で対テロ作戦に従事する米国などの艦船への給油活動を、来年1月16日以降も1年間延長する改正新テロ特別措置法を衆院で再可決し、成立させたのはその表れと言えよう。
政府・与党は自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法の整備も目指している。
だが、武力を行使する多国籍軍の輸送などは自衛隊が武力を直接行使しなくとも、政府自身が行使できないとする「集団的自衛権」の行使とみるのが妥当である。
自衛隊に頼らない、日本として可能な国際貢献を再考するべきだ。
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