糸満市小波蔵の水道管敷設工事現場で爆発事故が起き、重機オペレーターの男性ら2人が重軽傷を負った。米国製爆弾の弾底信管が見つかり、糸満署は爆発したのは不発弾と断定した。
沖縄戦の遺物は63年余たっても住民生活を脅かしていることをあらためて実感する。
国が戦争をしなければ、県内に不発弾が存在することはない。その意味からしても、不発弾処理は戦後処理の一環として取り扱うべき事項である。
住民を危険にさらす不発弾除去は国の責務である。磁気探査を含め、民間工事で見つかった不発弾も全額国負担で処理するべきだ。
実施基準の見直し必要
不発弾の爆発事故を未然に防ぐには、すべての工事での磁気探査の徹底が不可欠である。
国と県の公共工事では磁気探査を実施しているが、市町村や民間の工事などでは経費面などから探査しないことも多いとの指摘もある。糸満市の爆発事故現場では、磁気探査は行われていなかった。
市によると、(1)現場に不発弾があるとの情報がなかった(2)現場一帯の地質の大半が岩盤の固い地盤のため、不発弾が埋まっている可能性が低い―ことから実施しなかったという。
しかし、今回の爆発事故であらためて確認しなければならないことは、慎重の上にも慎重を期す必要があるということである。
沖縄戦体験者が年々減り、不発弾情報に頼ることは危険である。「情報がない」ことは「不発弾がない」ということにはならない。地質が硬いからといって不発弾が100パーセントないとは言い切れない。これまでの探査実施基準は見直すべきである。
今回の爆発事故を教訓にし、今後に生かす必要がある。
歴史的背景からして、不発弾処理は一義的に国に大きな責任がある。その認識を国は持ってしかるべきだ。
ところが、1972年の復帰以降、国は責任を放棄してきたと言っていい。処理費用の半額を市町村に負担させてきたことはその表れである。
市町村が半額負担してきた不発弾処理作業費を、来年度から沖縄に限って国が全額負担することは一歩前進と言えよう。
しかし、戦後63年余が経過したことを考えれば、あまりに遅すぎると言わざるを得ない。しかも民間工事は対象外である。
不発弾の約4割は民間工事で見つかるという。民間工事では磁気探査を実施しないケースがあることを考えれば、民間工事にも適用を拡大することによって発見される不発弾は増え、処理作業が加速することも期待できる。
国が不発弾処理に本腰を入れるなら民間工事を排除することなく、不発弾の発見・処理にかかる費用はすべて国負担とすべきだ。
住民らの安全を第一に
県内では、1972年から2007年度までの36年間で、3万24件、約1758トンの不発弾が処理されている。
それでも、今なお約2500トンの不発弾が地中などにあると推定されている。全不発弾の約4割しか処理されていないということになる。不発弾処理に当たる陸上自衛隊は、すべて回収するには「約80年かかる」としている。
終戦直後のスクラップ・ブームなどに比べると、不発弾の爆発事故は減ったとはいえ、いまだに事故の危険性をはらんでいる状況に変わりない。
1974年3月には那覇市内の幼稚園横の下水道工事現場で不発弾が爆発し、4人が死亡するなど、復帰後だけで6人が不発弾爆発事故の犠牲になっている。
磁気探査によって、今も年に600―800件の不発弾が処理されている。住民を避難させての処理作業も珍しくはない。
磁気探査は費用が掛かるだけでなく、工期に影響することもある。だが、工事に携わる作業員や周辺住民の安全を第一に考えれば、万全を期す必要がある。
それには国が費用を全額負担するなどして、県内の不発弾処理を後押ししなければ、現状を打開することはできない。
住民らを悲惨な爆発事故から守ることに、国が先頭に立って取り組むことを求めたい。
不発弾爆発事故の責任の所在を明らかにするためにも、国は積極姿勢に転換すべきだ。
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