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調書漏えい裁判 情報源の秘匿は基本原則2009年1月16日  このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 twitterに投稿する

 法廷で驚くべき証言が飛び出した。証人のジャーナリストが情報源を明かしたのである。
 取材する側とされる側の信頼関係、それと不可分にある情報源の秘匿、少年法の趣旨やプライバシー保護の問題など報道・出版側に多くのことを厳しく問い掛ける注目の裁判だ。
 証言は、奈良県の医師宅放火殺人をめぐる供述調書漏えい事件で、秘密漏示罪に問われた精神鑑定医の奈良地裁での第5回公判で行われた。証人は、中等少年院送致された少年の調書などを引用し出版した単行本「僕はパパを殺すことに決めた」の著者の女性フリージャーナリストである。
 著者は、検察側の尋問で情報源が鑑定医だったと明かし、公判後の記者会見では、その理由を「調書を見せたのは正当な行為だという弁護側の無罪主張に協力するためだった」と説明した。
 秘密漏示罪では、正当な理由があれば、違法性が阻却される可能性がある。著者の「無罪主張への協力」とは、そのことを指すのか。起訴されたいまとなっては、情報源を隠すことに意味がなくなったと考えているかもしれない。
 しかし、ジャーナリストが法廷で取材源を明らかにするのは聞いたことがない。強い違和感を覚える。
 鑑定医は、少年には殺意がなかったことなど、痛ましい事件の再発防止などの観点から取材に協力した。だが出版によって、結果的に情報源が特定された事実は重い。被告の弁護人は「筆を折ってください」と痛罵(つうば)した。
 取材に際し、コピーや直接引用の禁止などについて「明確な約束ではなかった」との説明も理解に苦しむ。約束の有無の話ではない。情報源を守るのは取材側の基本原則だ。
 まして守秘義務を課されている相手だ。情報の出口を狭めるような行為には敏感でなければならない。表現・報道の自由や国民の「知る権利」を危うくしかねない。
 新聞記者に情報を漏らした自衛官が捜査当局の処分前に懲戒処分になったり、秘密漏えいに厳格処分で臨む国家公務員制度改革基本法の成立など、情報統制が強まっている。
 情報源が守れないようでは報道機関に値しない。あらためて肝に銘じつつ裁判を見守りたい。


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