
急にトイレに行きたくなる「尿意切迫」。トイレに間に合わない「切迫性尿失禁」。夜中に何度もトイレに行く「夜間頻尿」―。これらの症状で困っていませんか?
おしっこのことで困っていても恥ずかしくて相談できず、あるいは年だからとあきらめている方も多いことでしょう。最近の大規模な全国調査で、このような症状の方が40歳以上の7―8人に1人いることが分かりました。
欧米の調査でも日本と同じ割合ですが、日本では医療機関受診率や治療率が低いことも分かりました。実際はかなりの患者さんがいることから、製薬会社はいくつもの新薬を開発しています。テレビや新聞で排尿に関する薬の宣伝が増えたと思いませんか。
これまで、このような排尿症状の疾患は、専門家だけが診る特殊な疾患だと思われてきました。しかし、患者数はかなり多く、泌尿器科の先生のみならず、多くの医師が治療したほうがよいという考えから、特別な検査を必要とせず自覚症状に基づいて診断できるように「過活動膀胱(ぼうこう)」(Overactive Bladder…OAB)と名付けられました。
過活動膀胱は、排尿の仕組みの異常から、膀胱の筋肉が勝手に収縮してしまうことが原因と考えられます。原因は大きく2つに分けられます。脳出血やパーキンソン病、認知症など脳やせき髄疾患を原因とするものと、それ以外のものです。後者は、前立腺肥大症、加齢や骨盤底筋が弱ったために症状が出ます。専門医の治療が必要な膀胱癌(がん)、前立腺癌、膀胱結石、膀胱炎などは除外されます。
治療は一般的に抗コリン剤が処方されます。膀胱を収縮させるアセチルコリンの働きをブロックする作用があります。副作用としてのどの渇きや便秘がありますが、副作用の少ない新薬が出てきています。薬を使わない行動療法をまず行うことが望ましいのですが、早期改善のため薬物療法が行われ、行動療法と併用しています。膀胱訓練や失禁を改善する骨盤底筋運動を指導しています。
日常生活では、過剰な水分摂取を控え、利尿作用があるカフェインを多く含む飲み物も控えます。寒さは膀胱を刺激するので要注意です。電気磁気刺激療法は、低周波治療器での治療が保険で認められています。
おしっこが近かったり、尿漏れ、夜間頻尿があると、日常生活が制限され、旅行やスポーツも楽しむことができません。快適な生活を取り戻すためにも、排尿についてお悩みであれば、お近くの先生にまずご相談ください。(おわり)
(佐久本操、さくもと泌尿器科・皮フ科)
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