フィリピン人女性への暴行容疑など4つの罪に問われた在沖米陸軍の伍長に、高等軍法会議(軍事法廷)は女性暴行容疑以外の命令違反や買春行為を認め、禁固6月などの判決を言い渡した。
開廷前に検察側と弁護側で「事前合意」が成立し、被告側は大隊長命令の同伴外出義務を破って単独で基地から外出した命令違反と買春などを認めたとされる。
禁固8月が6月に減刑されており、事前合意は事実上の司法取引とみるべきだろう。
女性暴行について罪を問わない代わりに、その他3つの罪については認めるとの司法取引があったのではないか。女性暴行について公正な審理が行われたのかは疑わしい。
裁判制度の違いと言えば、それまでだが、法廷の場以外で何らかの合意をするようでは、事実は何ら解明されない。
広報部は「判事は判決言い渡し前に合意の中身を知らない」として、事前合意と判決に直接の関係はないとしている。
判決に影響しないならば、なぜ減刑されたのかなど、事前合意の内容を明らかにするべきである。
「検察側は病院の検査結果で乱暴された証拠を発見できず、重要な目撃者も証言に応じなかった」とされる。事前合意の内容がはっきりしない中では、これもうのみにはできない。
裁判を通して事実が明らかになってくるのが本来の在り方である。しかし、今回の軍法会議は違う。事前合意によって検察側が明らかになっていない重要証拠を、提出しなかったのではないかなど、多くの疑問点だけが残った。
在日米軍広報部の説明が核心部分で変わったことも理解し難い。
当初は「検察側は女性暴行の訴追を証拠不十分で取り下げた」としていた。その後「判事が暴行罪は証拠の優位性に欠けると棄却した」に訂正している。
検察側が取り下げたのと、裁判官が棄却するのでは意味合いが大きく異なる。
軍法会議では被害者本人の尋問さえなく、人権侵害を問う場ではないことがはっきりしたと言えまいか。
事実認定よりも軍律を優先することでは、被害者を判決によって救済することはできない。米軍にとって人権は二の次であることがあらためて明確になったと言えよう。
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