石垣島を離れ上京してから30年が過ぎた。中年と呼ばれる年齢に達したことの驚愕(きょうがく)はあるが、鏡に映る自分を見て「昔とそう変わっていない」と勝手に思い込んでいる。これは、実年齢と精神年齢のギャップがどんどん広がっていく“思い込み”症状で、ある人に言わせると「沖縄のオバァ化現象」らしい。その症状を挙げると、「思い込みが激しい」「人の話は聞かない」「ガハハと大声で笑う」「たくましい」「カメーカメー攻撃」「マイペース」「涙もろい」…などなど。
自慢じゃないが、人の話はよく聴くほうだし、思い込みは人並み程度だと思う。だがしかし、隣のエレベーターまで轟(とどろ)く笑い声は事実だし、かよわい女ではなし、おいしい物は誰にでも「食べて、食べて!」と勧めるし、自分が決めたことはマイペースでひたすら突き進む。
涙もろさは天下一品でオイオイと声をあげ鼻水を垂らしながら泣くこともある。自分だけの判断で「沖縄オバァ認定証」は早計であると、周りの者の意見も聞いてみることにした。すると、「沖縄オバァを承認する」と全員一致のお墨付き。そういえば、小さいころから近所のオバァたちのユンタクを聞きながら育った。戦争で亡くした親兄弟のこと、物資が少なく日常生活が厳しかったこと、病院設備もなく子供が病死したこと、朝から晩まで働いたこと。
苦しいことや辛(つら)いことの重い話題にもかかわらず、時には大声で笑ったり時には涙をぬぐったり、オバァたちは明るく太陽のようであった。歴史に翻弄(ほんろう)された時代を生きたオバァたちだが、心の中にいつもハイビスカスのような明るい花を咲かせ、強くたくましく生き抜いてきたのだ。
このたび、ありがたく「沖縄オバァ認定証」を頂戴(ちょうだい)したいと思う。
(今井恒子、(株)フロッサ代表取締役)
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