県立博物館・美術館で開催中の企画展で、昭和天皇をモチーフとする作品が館側の要請で外された。天皇という“政治性”ゆえの作品除外であれば、憲法で保障される言論・表現の自由にもかかわるだけに、検証が必要だ。
除外されたのは天皇と原爆のキノコ雲のコラージュなど大浦信行氏(神奈川県)の作品14点。憲法九条をテーマとする企画展らしいともいえるが、富山県での展示会が右翼団体の批判で非公開となった経緯もある作品である。
牧野浩隆館長は「教育施設であり公正中立の観点から適切でないと判断した」と説明し、作品の“政治性”をおもんぱかった事情をうかがわせる。
同館長は企画者とのやりとりで「傷んでいる果実を外してはと言ったら先方が外した」とする。企画者の「自主判断」を示唆するが、開催施設長の“注文”は、除外要求の重みがあったのではないか。
同館では「石川文洋写真展」のベトナム戦の悲惨な作品「飛び散った体」も同館長の要請で展示を外されている。
問題は表現・言論の場を提供する美術館や館長の側が、作品の政治性や悲惨さなどを理由に、除外や規制を行うことの妥当性だ。
作品を除外された大浦氏は「表現の自由の否定」と強く反発。富山県での非公開の件に詳しい富山大教授も「姿を変えた検閲」と厳しく批判している。
県内では1999年に、開館前の県平和祈念資料館で監修委員の承諾を得ずに展示物の日本兵の銃を取り外すなどした問題があった。当時の知事、三役の「反日的になってはいけない」などの発言が影響を及ぼしたとされる。
言論の自由にかかわる国内の事例では昨年、日教組の教研集会が右翼団体の妨害を理由にホテルの予約をキャンセルされた。
県内では沖縄戦や日本軍、天皇、国旗・国歌などの事柄が政治問題化することが多いが、混乱や批判を恐れ、公共施設を提供する側が言論や表現の自由を抑制することがあってはならない。
一方で過度に常識や品位を欠く活動・展示に、施設側が一定の注文を付ける裁量は認められるべきだろう。今回の美術館の判断と対応が妥当であったか、専門家の意見も聞き、表現・言論の自由を守るルールづくりを進めてほしい。
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