金口木舌 RSSicon

2009年5月2日

 利用者に笑顔が戻り、ぼーっとした瞳が輝いたときは何ともいえない喜びだねぇ。高齢者介護のベテランは、誇らしげに語った
▼介護保険制度は去る4月で10年目に入った。役所による「措置」から利用する者と施設の「契約」に、そして施される「恩恵」から「権利」に変わったはずだが、介護現場は10年前とそれほど変わらない実態を目にすることが多い
▼そのような中にあって、利用者の失われた尊厳の“復活”に挑む人たちがいる。家族に暴力を振るったり、手元の物を投げ付ける男性は、ある介護者の対応で、いら立ちが消え柔和な表情に戻った
▼重い認知症で入所した女性がいた。彼女の希望で旧暦の毎月1日と15日に拝所巡りを重ねるうち、明るさと元気が戻ってきた。介護者に共通しているのは「相手が何をしたいのか、どうすれば満足するのか」に重点を置いている
▼上野千鶴子さんは著書で『年寄りのお願い』という詩を紹介する。「年寄りは言葉がほしいの/物言うたら返事してや/言うたことわすれて また言うて/うるさいやろけど 返事してや(後略)」
▼人間誰しも自分のやりたいことや言いたいことを抑制されると、貝のように口を閉ざし殻にこもるという。高齢者施設で時折、耳にする。高齢者に限ったことではない。人としての尊厳を保てる社会をどう築くかが求められている。


次の記事:米国籍乳児がインフルエンザ陽...>>
アイコン 今日の記事一覧 アイコン 今月の記事一覧 アイコン 最近の人気記事


関連すると思われる記事

powered by weblio


金口木舌一覧


過去の記事を見る場合はこちらをクリックするか、 ページ右上のサイト内検索をご利用ください。