頂点に立ち、チームを支えた関係者と記念撮影をする琉球ゴールデンキングス=17日午後7時すぎ、東京都江東区の有明コロシアム
2点シュートをすべて成功させ、日本人トップの16得点を挙げた金城茂之
優勝が決まりクリス・エアーから祝福の水をかけられる桶谷ヘッドコーチ=東京、有明コロシアム
第4Qで琉球ゴールデンキングスのシュートが決まるたび、喜びに盛り上がるブースター=17日、東京都江東区・有明コロシアム
プロバスケットボールbjリーグの琉球ゴールデンキングスは17日、東京・有明コロシアムで東京アパッチとリーグ優勝決定戦を行い、89―82で勝ち、初優勝を飾った。 リーグ参入2年目のキングスは今シーズン、開幕から9連勝を飾るなど、西地区首位を独走し41勝11敗、リーグ歴代最高勝率の7割8分8厘でレギュラーシーズンを終えた。プレーオフ初戦となる西地区準決勝では4位のライジング福岡に2連勝し、16日に同会場で行われた西地区決勝では3連覇中の大阪エヴェッサを逆転の末に勝利した。
優勝決定戦では澤岻直人が先制点を挙げると、クリス・エアーのゴール下の得点、菅原洋介の3点シュートなどで着実に点差を広げ、第1Q(クオーター)をリードした。第2Qに入ってもキングスの勢いは止まらず、金城茂之のランニングシュートやアンソニー・マクヘンリーの3点シュートでリードを保った。第3Q、ジェフ・ニュートンが攻守両面で存在感を見せ、リードを保ったまま最終Qを迎えた。第4Q開始5分間、東京を2点に封じるなどチームディフェンスで押さえ込み、終盤の追い上げもかわし、勝ち切った。
プレーオフMVPには、シーズンMVPに続きジェフ・ニュートンが選ばれた。
▽決勝
琉球ゴールデンキングス(西カンファレンス1位)
89―82
(25―18,21―20,22―24,21―20)
東京アパッチ(東カンファレンス2位)
(キングスは初優勝)
【評】キングスが基本的なマンツーマンで守ったのに対し、東京は変則的なゾーンディフェンスで始まった。キングスのゴール下のパワープレーに対し、東京は反則を繰り返し第3Q終了時には4回反則を犯した選手が3人出て、プレーの制限を余儀なくされた。後半、キングスはスペースを突いた個人技などで順調に得点を重ねた。東京は個人技などで粘ったが、ベーカーの故障で得点源を失い、力尽きた。(久田尚志)
<試合経過>
第1Q、クリス・エアーやジェフ・ニュートンのゴール下の得点などでキングスがリードした。東京はハンフリーの3点シュートなどで得点し25―18とした。第2Qは東京のベーカーが10点を挙げ追いすがるが、アンソニー・マクヘンリーが積極的にドライブをしかけ、守りを引き付けてクリスにさばくなど、空いたスペースを突いた攻撃で得点を重ねた。
第3Q、澤岻直人の個人技で得点を挙げたキングスがリードを保ったが、東京の青木が外、中で連続得点を奪い猛追した。第4Qには、最大でキングスが12点のリードを奪ったが、岩佐の3点シュートやベーカーの個人技で、残り1分を切り4点差となった。ファウルゲームとなったが、金城茂之らがしっかりフリースローを決め、逃げ切った。
◆澤岻直、エンジン全開 連覇目標「あすから練習」
12点差がいつのまにか5点差まで追い上げられていた。第4Q(クオーター)残り2分、チームプレーで得点を取ろうとしていた澤岻直人だったが、個人技でゴールを奪いにいった。中央からゴールにドライブすると見せかけ、急激に止まると後に跳びながらジャンプシュートを放った。ボールはリングに吸い込まれた。キングスにとって約3分ぶりの得点。東京へ流れていたゲームを一気に引き戻すプレーだった。
澤岻には「最後に1点多く勝っていればいい」という司令塔特有の考え方がある。前半で大きく点差を開けられても、得点を意識しないという。しかし、ファイナルでは違った。開始30秒、青木康平とジョン・ハンフリーの死角から飛び込み、ボールを奪うと簡単のレイアップシュートで先制点を挙げた。さらに東京の守りが油断をしているのを見逃さず、キングスのゴール下から東京のゴール下まで一気に駆け抜け、得点を奪った。ゲーム開始からエンジン全開だった。
チームを優勝に導くリーグで最高のポイントガードであることを証明した澤岻。「自分はまだまだ。あすから来シーズンに向け練習を始めたい」。視線は連覇という新たな目標に向かっていた。(久田尚志)
◆ニュートンMVP「優勝請負人」本領 「チーム全体で取れた」
今季好調だったキングスを引っ張り、シーズンMVPを獲得した琉球ゴールデンキングスのジェフ・ニュートンがプレーオフでもMVPに輝いた。今季からキングスに移籍したが、昨季まで所属していた大阪エヴェッサで3連覇に大きく貢献しており、まさに「優勝請負人」と言える。
昨年最下位から頂点に引き上げた功績は大きいが「この優勝はチーム全体で取れたものだ。このメンバー一人一人がいなければなしえなかった」と、「チーム力」での勝利と、チームメートの活躍をたたえた。
圧巻だったのは50得点でリーグ新記録をたたき出した16日、プレーオフ初戦の大阪エヴェッサ戦。17日の決勝、東京アパッチ戦では執拗(しつよう)なマークにあったがそれでも11得点し、終始リードを保つことに貢献した。
「このチームがなぜ特別かと言うと誰でも得点できるからだ。ほかの選手を信頼して自分はリバウンドをしっかり取り、相手に強く当たることを心掛けた。その結果だ」と強調。大阪戦の終了後「ファイナルですべてを出し切りたい」という思いは果たせなかったが、満足しているようだ。
「来季もキングスでプレーするか」との質問には「自分のプラン次第だ」と明言を避けた。「優勝請負人」の来季の参加と、活躍が期待される。
(宮城久緒)
◆自信の金城 攻め多彩に
金城茂之が終盤のフリースローをすべて決めた。「シュートを外しても誰も僕を責めたりはしない」。シーズンを通し高い確率で決め続けチームメートから得てきた信頼が、結果として金城を気楽にさせていた。
ゲームで金城は3点シュートだけにこだわることはなかった。東地区を代表する3点シューター城宝匡史とのマッチアップ。粘り強く追い掛けシュートを許さなかった。対して金城は3点シュートを警戒されれば、ゴール下へとドライブを繰り返し、5本の2点シュートすべてを成功させた。「今季最後のゲームで集大成が出せた」。金城の顔は自信にあふれたいた。
◆桶谷HCに感謝の“祝杯” 「沖縄に恩返ししたかった」
「チーム一丸で戦い、決勝戦で一番いい試合ができた。選手によくやったといいたい」。前季最下位から1年で頂点に立つチームに育て上げた。若いコーチだけに、選手と同じ目線に立って一緒に考え、コミュニケーションを図ることがモットーだ。選手からも「仲間」のように慕われ優勝インタビュー中に、クリス・エアーからバケツの水を掛けられる一幕も。
中学1年生の時に腎臓をわずらった。それから選手ではなく、同じくバスケットボールチームのヘッドコーチをしていた父親の後を次ぎ指導者を目指すように。高校卒業後アリゾナ州立大学にコーチング留学。2005年のシーズンから大分のアシスタントコーチに就任した。06シーズンからはヘッドコーチに就き、07―08シーズンは19勝25敗の戦績を残し、08年6月に琉球ゴールデンキングスの監督に就任した。
現在のチームを結成当初から「個人の技術力はもちろん、チーム全体のオフェンス力、ディフェンス力ともに、今までかかわったチームより上だった」と手応えを感じていた。だからこそ「戦術におぼれず、シンプルに戦うことを心掛けてきた」。前季最下位から這(は)い上がるために精神面を鍛えようと勝敗にかかわらず試合のたびに一人一人に2、3の課題を持たせ、練習に向かい合わせた。
沖縄のチームでの優勝に「バスケットボールが盛んで協力的だ。何よりチャンスをくれた沖縄に恩返しがしたかった。子どもたちに夢を与えることができたこともうれしい」と強調。
「1年目最下位の悔しさがばねになった。これからは強いキングスという伝統をつくっていきたい」と、連覇を明言。「指導法も凝り固まらず、常に自分を成長させていきたい」とコーチとしても飛躍を誓った。友紀さん(31)との間に1男都人(やまと)君。趣味は「犬の散歩ですかね」と笑顔。京都府出身。
◆琉球旋風、喜び爆発
【東京】猛烈な快進撃を続けた琉球ゴールデンキングスが、優勝決定戦で全国に琉球旋風を吹かせた―。前シーズンの最下位から一気に頂点に。その瞬間、ブースターは総立ち。「感無量」と言葉を詰まらせ、涙を流すファンも。指笛、カチャーシーで喜びを爆発させ、沖縄の新たな伝説を打ち立てたチームに感謝し、歓喜の拍手を贈った。
第1Q(クオーター)から第4Qまで常にわずかなリードを保ったまま、続いた最終盤は時に危うい場面もあり、ブースターは一喜一憂にくれたが、チームを信じて「ゴーゴー、キングス」と最後まで熱烈声援。県内から駆け付けた喜屋武翔さん(25)は「東京でも選手がホームのように感じて試合できたらいいと思って着てきた」と、チョンダラーの格好で声を張り上げた。日本一が決まった瞬間には、会場に流れる「唐船ドーイ」の曲に合わせ、カチャーシーで喜びを爆発させた。
那覇市内に住む大谷明正さん(30)は、東京の試合会場に来られなかった多くのファンや仲間の寄せ書きを集めた大旗を掲げ、会場を駆け回り、盛り上げた。勝利の瞬間、応援で汗だくになった白鳥のかぶり物を手に「最高のシーズンだった。感無量です」と歓喜にむせび、「今夜は飲み明かして喜びを分かち合いたい。でも、これからがスタートです。キングスの伝説をつくり上げてほしい」と期待を込めた。
キングス発足当初から応援してきた新屋希美さん(26)は、ついに訪れた日本一の瞬間に「ずっとこの日を夢見ていた」と感激。困難に直面しつつも克服し、頂点に上り詰めたチームのこれまでを振り返るように「最高に幸せです」と声を弾ませた。
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