若い世代ほど負担に対し、支払われる年金額が少なくなってしまう。厚生労働省は、厚生年金の手取り収入についての試算を社会保障審議会年金部会に報告した。
妻が40年間専業主婦のモデル夫婦世帯では、2050年度も現役世代の手取り収入の5割は維持できるが、共働きや男性単身の世帯では4割を下回る。
世代間の負担と給付に格差が広がってしまうと、制度そのものへの不安が高まる。勢い制度離れが生じる。どう食い止めるか、課題の整理が重要だ。
厚労省が示した今回の試算は、5年ごとに実施する公的年金の財政検証の一環として行われた。向こう100年間の健全性を確かめるのが目的だが、政府が言ってきた「100年安心」は心もとない。
2010年に70歳(1940年生まれ)になる標準世帯の受給総額は本人が支払った保険料の6・5倍、同年に30歳になる80年生まれ以降は2・3倍と大幅な格差ができる。
04年の年金改革で政府が掲げた「現役世代の平均手取り収入の50%の給付水準を確保」も、今回の推計では実現できない状況だ。
水準モデルそのものが現実的ではないとの指摘もある。07年現在、共働き世帯が専業主婦世帯を162万世帯上回っている。
現在の制度には保険料の上限を決めて段階的に引き上げ、その範囲内で給与水準を自動的に抑制するマクロ経済スライドの仕組みもある。07年度から23年度の適用期間は、物価や賃金が伸び悩み抑制開始が遅れている。12年度開始予定だ。
厚生年金では、算定基礎となる標準報酬月額(給与水準)の改ざんをしていた社会保険庁の問題対応や、深刻な不況と雇用不安が続く経済事情もあるが、若者たちの将来への不安を払拭しなければならない。世帯間に加え、世代間格差が心配だ。
損得だけで公的年金制度の見直しを進めるわけにはいかないが、公的年金は、将来への貯蓄ではなく、社会保障の一環としての相互扶助制度である。
現在納めている世代が後々、現在の負担に比べて納得のいかない手取り収入となるのでは、扶助制度は成り立たない。
若い世代にも納得し、負担してもらえる信頼と安心の魅力ある健全な制度への改革が急務だ。
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