政府が年内の決定を目指して策定作業を進める新たな「防衛計画の大綱」(2010〜14年度)の基本方針が明らかになった。これは事実上の「軍備拡大宣言」だ。
基本方針は、冷戦終結を受けて1995年策定の大綱から削減傾向にある防衛予算を増額させ、「装備、要員の縮減方針の転換を図る」など、軍拡路線への転換を鮮明にしている。
「情勢の変化を踏まえた選択肢の確保」との表現で、敵基地攻撃能力保有の検討も打ち出している。政府による「専守防衛」方針の逸脱、放棄が懸念される。
国民は、「平和国家」から「攻撃的国家」への変化を求めているのか。そんなことは、あり得まい。防衛官僚や制服組の暴走が始まろうとしているのならば、危険な芽は摘み取らねばならない。
基本方針では、「周辺地域の軍事力の近代化、活発化」を指摘している。政府の軍拡志向の背景に、軍事費世界2位で覇権拡大が指摘される中国や、核・ミサイル開発で国際社会の批判を無視して暴走を続ける北朝鮮への警戒感があるのは間違いない。
しかし、神経をとがらせる政府の対応策が、中国、北朝鮮を「挑発」し、日本国民に両国への「脅威」を煽(あお)り軍備増強へ―というのではあまりに短絡的だ。
外交努力を怠り、軍事力を頼みにした安全保障政策で、持続的に平和を維持、発展させた例など聞かない。
政府の国防の基本方針が掲げるわが国の国是は、今でも「専守防衛」「軍事大国とならないこと」「非核三原則」「文民統制の確保」だ。官僚や政治家がこれを後退させたり、変更したりする正当な理由があるとも思えない。
オバマ米大統領が今年4月、チェコの首都プラハで、「核兵器のない世界」へ向けた演説を行った。以来、国際社会は核兵器廃絶など非核化、軍縮による新しい世界秩序づくりを模索している。日本が日米関係の軍事的側面を優先するあまり、世界の流れに逆行するようでは孤立化する。
世界に誇る平和憲法を持つ国、唯一の被爆国として、わが国が選択すべき外交・安全保障政策は、「非軍事」が基軸であるべきだ。自国でも他国への働き掛けに際しても、軍縮こそが優先されるべきだと確信する。
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