米下院が米軍普天間飛行場移設計画の制限条項を含む2010会計年度(09年10月〜10年9月)の国防権限法案を可決した。
普天間移設について米下院は「最低限の飛行安全性を上下両院の軍事委員会に保証しない限り、国防長官は移転を認めてはならない」と注文を付けた。
下院の真意は、滑走路の長さや周辺にある電柱などの障害物が、米軍の安全基準を満たしていない―というもの。住民よりも、米軍の安全を優先している印象が否めない。その点は極めて不満だ。
上院の審議やホワイトハウスの拒否権発動の動きなど同条項が最終的にどう扱われるのかは不透明だ。しかし、下院の移設計画への異議は重く受け止めるべきだ。
同法案は1996年のSACO合意、06年の米軍再編合意を経て、普天間県内移設に執着する両政府の思考停止状態に、風穴を開ける一石として注目に値する。
SOCO合意以来、県民は各種世論調査で一貫して県内移設反対の意思を示してきた。昨年6月の県議選を前に本紙が実施した有権者アンケートでも「県外・国外に移設」が6割を占めた。
「県内移設反対」の県民意思は明白だが、それを日米両政府の首脳や官僚は無視してきた。
両政府の当局者が強引な姿勢を改めず、なおも県内移設に執着し続けるのは愚かな行為だ。県内移設の既定方針を再考し、国外移転を含む新たなアプローチによる閉鎖・返還作業に着手すべき時だ。
日米の安全保障政策が、市民の敵意に囲まれるのは不幸なことだ。日米の政治家には、そうした不幸を招かぬよう政策をコントロールする責務がある。
先週来日したフロノイ米国防次官は、普天間移設計画について「これを捨ててしまうとすべての再編計画を失う。同盟にとっても大変なダメージになる」と述べ、民主党の県外移設論を牽制(けんせい)した。
ブッシュ前政権の単独行動主義から国際協調路線に転換し、核廃絶を含む軍縮を進めるオバマ米政権の官僚から、このような硬直した発言が出てくるのは残念だ。
既定方針への執着は、日米の多くの当局者に見られる。官僚が政治を支配するのか、政治が官僚を支配するのか。普天間移設問題の行方は、オバマ政権の対日政策を占う試金石でもある。
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