また一つ、自衛隊は海外“派兵”の道を手に入れ、国民は憲法9条が禁止する「武力行使」の歯止めを失った。
政府は24日、アフリカ・ソマリア沖での海賊対策のため、海賊対処法に基づく対処要綱を閣議決定し、浜田靖一防衛相は海賊対処行動を発令した。
発令でソマリア沖に派遣されている海上自衛隊の護衛艦の活動根拠は「自衛隊法」82条に基づく「海上警備行動」から新たに成立した「海賊対処法」に切り替わった。
同法に切り替わることで自衛隊の海外“派兵”が恒常的に可能になり、自衛隊の活動は国会審議の争点だった「国会の事前承認」の歯止めを失った。
また、海上警備行動では認められていなかった外国船舶も護衛の対象になった。憲法が禁ずる集団的自衛権の行使にもつながるとの懸念もある。ここでも歯止めが一つ失われる。
最も大きな転機は武器使用基準の緩和であろう。自衛隊の海外“派兵”を認めた「PKO(国連平和維持活動)参加5原則」でも武器の使用は隊員の生命、身体を守るための緊急避難的な使用が前提だ。
紛争解決の手段としての武器の使用は、憲法が禁ずる「武力の行使」に当たるとされるからだ。
だが、海賊対処法では武器使用基準が緩和され、威嚇だけでなく海賊船への「停船射撃」も認められている。自衛隊の海外活動で任務遂行のための武器使用を初めて認めるケースで、自衛隊の武器使用権限が大幅に拡大された。
ソマリア沖では海賊との銃撃戦という事態が想定される。そうなれば自衛隊が初めて武器を使用するケースとなる。
自衛隊の誕生で平和憲法の根幹ともなる「戦力の不保持」が有名無実化し、海賊対処法で「武力行使の禁止」が歯止めを失い、集団的自衛権の行使への道さえ開こうとしている。
海上自衛隊は停船射撃への態勢を整えた護衛艦「あまぎり」と「はるさめ」を派遣し、現在活動中の2隻と交代。同法に基づく活動を始める。
改憲か護憲かの国民的論議を超え、国会の事前承認という歯止めも利かない自衛隊の活動がいよいよ始まっている。
文民統制の緩みも指摘される自衛隊だ。せめて国民は、自衛隊の活動に監視の目を強めておきたい。
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