米海兵隊の大型輸送ヘリコプターが宜野湾市の普天間飛行場に隣接する沖縄国際大の構内に墜落して13日で丸5年になった。
米軍基地の危険性が顕在化した重大な事故だったが、大学や住宅地の上空を米軍ヘリが飛び交う状況は今も変わらない。現状は不可解かつ理不尽と言うほかない。
米軍機墜落の恐怖と激しい騒音を半世紀余りも放置したまま、平然と「安全保障」「平和と繁栄」を説く日米両国政府の姿勢は理解に苦しむ。
日本の安全を維持するはずの日米安保体制が、現実には自国民を苦しめているという矛盾を、政府はどう説明するのだろうか。
日米同盟の根幹とされる日米安全保障条約は、前文で「民主主義の諸原則、個人の自由と法の支配を擁護することを希望し(中略)すべての国民や政府とともに、平和のうちに生きようとする願望を再確認する」とうたっている。
沖縄の現実はどうか。県のまとめだと、米軍機関連の事故は1972年の復帰以降、2008年末までに487件発生した。04年の沖国大の事故ではヘリがバランスを崩し、回転しながら降下。正門近くの校舎に接触した後、職員駐車場に墜落、炎上した。
米軍人等による刑法犯罪は同期間で約5500件に上る。3割弱が凶悪犯または粗暴犯だ。少女が米兵3人に暴行された1995年の事件は、復帰後最大規模の県民総決起大会が開催されるに至り、怒りが渦巻いた。
このほか戦車による老女圧殺事件、住民狙撃事件などが起きた。復帰前の米軍統治下では、小学校に戦闘機が墜落し、児童11人を含む17人が死亡する痛ましい事故もあった。一連の惨事から「民主主義の諸原則」は見えない。平和裏に生きる願いなど、絵空事にすぎないことを思い知らされる。
政府は普天間飛行場について、飛行ルート変更など危険性除去の措置はすべて実施したと説明するが、まったく実感がない。
仲井真県政の求める普天間の「3年内の閉鎖状態」も分かりにくい。撤去なのか、機能喪失なのか、機能低下なのか。はっきりしないと、政府に“手抜き”の口実を与えてしまう。
住民の犠牲の上に成り立つ安全保障などあるまい。対症療法的ではなく、危険極まりない飛行場という“病根”を絶つか、県外に移す大手術こそが求められる。
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