戦後64回目の終戦の日を迎えた。だが日本、沖縄では今なお戦争と戦後の「残滓(ざんし)」が山積している。処理を急ぎたい。
「終戦」とは文字通りならば戦争が終わったことを意味する。
だが、沖縄では今年もあの“戦争”の被害者が出ている。戦時中の不発弾の爆発による犠牲だ。
不発弾は、終わったはずの戦争が時空を超えて県民の命を奪う「時限爆弾」となっている。
被害は紛れもなく戦争の残滓による形を変えた戦争被害である。
「終戦」から数え64年の間に、沖縄では不発弾による死者が710人を数え、負傷者は1281人に上る。
米軍基地は戦争の残滓
この10年でも年平均40トンの不発弾が処理されたが完全処理までになお70年〜80年かかるという。
佐藤栄作元首相は「沖縄の祖国復帰が実現しない限り、わが国の戦後は終わらない」と語り、沖縄の本土復帰に尽力した。
言葉通り国際法では「占領終了」をもって「終戦」とする見方もある。その論理から日本の真の終戦記念日は、サンフランシスコ講和条約が発効した1952年4月28日とする説がある。
占領終了なら講和発効後も米軍統治下に置かれた沖縄の本土復帰が実現した72年5月15日が「真の終戦」との説すらある。
しかし沖縄には復帰後も、復帰前と同じように「占領軍」だった米軍が駐留を続けている。
米軍統治も含め米軍駐留はこの国の「敗戦」の償いである。その償いとなる駐留米軍の過半をなぜ沖縄が過重に背負い続けねばならないのか。
敗戦から64年を数えてなお沖縄の県土面積の1割を外国軍隊が占拠し続けている。
戦争を始めたのは国である。しかし、戦争被害に対する国の補償は不十分なままだ。
敗戦の残滓、米軍駐留は戦争がなければなかったであろう。
米軍駐留は、講和条約が発効し、その後、沖縄が本土復帰した後も「日本の防衛」のためという日米安保条約の「大義」で正当化された。
有事には国民を守るはずの駐留米軍が、平時に毎年70件前後の犯罪で県民を苦しめ、多い年は100件を超える軍事演習・事故の危険が県民生活の安心と安寧を脅かし続けている。国土のわずか0・6%にすぎない沖縄に在日米軍の専用施設の75%近くが集中し、安保の犠牲を強いている。
64年の歳月を経てなお「被害」を与え続けている戦争は、沖縄にとってまだ「過去」になっていない。
戦争が残した「未来への時限爆弾(不発弾)」の完全除去なくして沖縄に終戦は来ない。
そして敗戦の残滓である「米軍の撤退」なくして沖縄の戦後も終わらないのである。
悲惨な沖縄戦は、県民に平和の尊さと反軍と反戦の教訓を残した。沖縄は戦争のための要石ではなく、平和の要石でありたい。
火種消し、信頼醸成を
政府は82年4月に、8月15日を「戦没者を追悼し平和を祈念する日」と閣議決定した。
追悼を名目に、A級戦犯を合祀(ごうし)する靖国神社を参拝する首相・閣僚らが戦争の被害を受けたアジア諸国を刺激し、いまも過去の戦争の「火種」を引きずっている。
今年も閣僚らが終戦の日の靖国神社参拝を予定している。首相・閣僚らの靖国公式参拝は思想信条の自由、政教分離を基本とする戦後の平和憲法の理念に反する。
戦没者の追悼のために宗教色を排した国立墓苑構想もあるが、実現に政府は消極的だ。
95年の戦後50周年の終戦記念日の節目に、当時の村山富市首相は、いわゆる「村山談話」を発表した。
談話は「わが国は国策を誤り、戦争への道を歩み、国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略で多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた」と、過ちを率直に認めた。
談話は「杖(よ)るは信に如(し)くは莫(な)し」の言葉に象徴される。「信義に勝るものはない」との意だ。戦争で失った国際社会からの信頼を、どう取り戻すか。
独善的なナショナリズムを排し、平和の理念と民主主義を押し広める。唯一の被爆国として核兵器の廃絶、核不拡散、国際的な軍縮の積極的推進を表明した。
簡単なことだ。談話を実行に移す。誓いが有言実行された時、日本は真の「終戦」を迎える。
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