『ロンバルディア遠景』
『ロンバルディア遠景』 諏訪哲史著
この本をどう書評しようかな。そう考えるとワクワクする。読む楽しさ、驚き。著者に転がされて、結末で「アッ」と膝を打つ。上首尾の実験に立ち会えたうれしさが、ひしひしとわいてくるのだ。
『アサッテの人』で芥川賞をとった作家の、単行本3作目。ランボーを思わせる若き詩人と、その才能にほれ込んだ編集者の交流が縦糸。
詩誌『エウロペ』に月原篤を名乗る少年詩人から投稿があった。一読、ピンときた編集者、井崎は掲載を決める。その詩と、井崎の感想が巻頭に来るのだが、これがいい。どこか不穏で。つまり、井崎と篤の同性愛がそれとなくほのめかされるのだ。
井崎は果たして才能を愛でているのか。それとも―。その疑問をはらみながら、小説は篤のエロスを事細かに描写していく。その濃密な筆が、愛人の舌のように、絡みつく。
率直に言って「やられた」という感じ。驚きの質は、受賞作どころではない。作家は3作目が勝負と言う。それに勝った快作だ。
(講談社 1700円+税)=安岡真・筆
(共同通信)

素晴らしい!
文学の“狂気”を生きる
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