県警によるキャンプ・ハンセン立ち入り調査を米軍が認める方向となった。そもそも立ち入りは当然だ。それが、被弾から10カ月後にようやく立ち入り調査するのでは、あまりに遅過ぎる。
県警は関係者の事情聴取もするというが、これも本来なら発生直後になされるべきだった。
法治国家なら当然のことが、米軍相手にはできない。「対等な日米関係」を掲げる鳩山新政権はこの実態を直視してほしい。
被弾は昨年12月、金武町伊芸で発生した。住民は同月10日に着弾音を聞いた。その日、付近の射撃場で実弾射撃訓練をしていた米軍は、調査報告書でなぜか発生を11日とし、「訓練日と一致しない」という理由で関連を否定した。
銃弾は県内の自衛隊が撃っていない型で、米軍が使用するものと同一だ。しかも9、10の2日間、米軍は付近で同種の弾丸を8千発も発射していた。これで「訓練と無関係」という話を信じる人はいるまい。
民家の乗用車に銃弾が突き刺さるというのは刑事罰も問われかねない事態だ。10カ月もあれば射撃場の銃座の方角も変えられよう。いくらでも「証拠隠滅」できる。
証拠隠滅の意図はないとしても、当事者の米軍が容認しなければ立ち入り調査もできず、認めるにしても、調査の時期をいくらでもずらせるのはあまりにおかしい。
米軍人の駐留はローテーションだから、撃ったはずの当事者がもはや沖縄にいない可能性もある。
基地の管理権を専ら米軍だけに認める日米地位協定が元凶だ。1996年に運用改善をしたものの、日本側が立ち入りできるか否かは米軍の「妥当な考慮」に委ねられている。明治時代の治外法権もかくや、と思わせる。やはり地位協定は改定するほかない。
事件後、仲井真弘多知事は抗議せず、県の訓練中止要求は「米軍のものであれば」という条件付きだった。だが原因が分からないなら、その間の訓練は中止を求めるのが筋だろう。
県は県民の命を預かる立場のはずだ。傍観者のような態度は理解できない。
過去に流弾の例は枚挙にいとまがない。民家の中にいた住民の足を撃ち抜いたこともある。そもそも狭い沖縄で訓練することが危険過ぎる。実弾訓練の廃止へ、政府や県は意志を固めてもらいたい。
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