鳩山由紀夫首相は、米軍普天間飛行場の移設を含む在日米軍再編見直しについて、衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)が変わる可能性を示した。
有権者に示した政治姿勢を選挙後、民意に反して変えることは理解を得られまい。
政権公約について「国民との約束事で、守ることが大事。簡単に変えるべきではない」としながら、「時間の問題、時間というファクター(要素)で変化する可能性は否定しない」と、時とともに政治姿勢も変節する可能性を示唆した。
普天間飛行場の全面返還については、1996年に当時の橋本龍太郎首相とモンデール駐日米大使が合意してから13年が過ぎた。日米両政府は、名護市辺野古への代替施設建設で合意しているが、生活や自然環境への影響が懸念され、計画は行き詰まっている。
自公政権での合意に対し、政権交代を果たした鳩山民主党は、マニフェストで「米軍再編や在日米軍基地の在り方についても見直しの方向で臨む」としてきた。
普天間飛行場に対する明確な言及はないものの、民主党の沖縄版政権公約ともいえる沖縄ビジョンでは「普天間基地の移転についても県外移転の道を引き続き模索すべきだ。戦略環境の変化を踏まえて、国外移転を目指す」と県外・国外移設を鮮明にしてきた。
首相も県外移設を前提にした交渉を目指す姿勢を示してきたが、なぜ今、変えねばならないのか。
社民、国民新との連立合意でも米軍再編について「見直しの方向で臨む」と明記している。首相が方針を変えるものなら、連立も立ちゆかなくなるだろう。
普天間移設先の姿勢で政権内部で足並みも乱れる。北沢俊美防衛相は県外移設に消極的な発言をし、前原誠司沖縄相や防衛省の長島昭久政務官は辺野古移設を疑問視する。
過去の世論調査で普天間移設については、過半数が新たな基地建設に反対し、県外・国外を求めている。県内移設反対を訴えた県議会野党が、過半数を占めたことでも県民の意思は明らかだ。昨年7月には、賛成多数で県議会が新基地建設反対を決議している。
手詰まりの懸案こそ、政治主導を掲げる鳩山政権の真価が問われる。よもや、その看板を下ろすわけではなかろう。民意を的確にとらえ、適切な政治判断を求めたい。
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