バラク・オバマ米大統領へのノーベル平和賞授賞が決まった。就任してから9カ月足らず。9月の国連安全保障理事会・首脳級会合で「核兵器のない世界」に向けた取り組みをうたった決議案採択を主導した点は高く評価しなければならないが、具体的な成果はまだ見えていない。
核保有大国の大統領に、世界を変えてもらうため一層の努力を促す狙いがあるとしても、ノルウェーのノーベル賞委員会の決定には違和感を覚える。
米国は今なお6万人を超える軍隊をアフガニスタンに展開し反政府武装勢力タリバンとの戦闘を続けており、イラク戦争以降駐留している米軍もまだ全面撤退に至っていないからだ。
具体的な行程表必要
オバマ大統領は今年4月、チェコの首都プラハで演説し、国家安全保障戦略における核兵器への依存度を下げ「核兵器のない世界に向けた具体的な措置を取る」と宣言、核拡散阻止や核テロ防止策も打ち出し、核の脅威に立ち向かう包括的な核構想を初めて示した。
さらに「核兵器を使用した唯一の核保有国として行動する道義的責任がある」とも言明している。オバマ氏の姿勢は画期的であり、期待が持てる。
唯一の被爆国である日本としても「核廃絶」の実現に向け、強力に後押ししなければならない。
とはいえ、ノーベル平和賞は国際的な平和活動や軍縮など人類全体の平和に貢献した人物・団体に授与される賞だ。
核軍縮に後ろ向きだったブッシュ前政権から大きく舵(かじ)を切ったのは間違いないが、「人類全体の平和に貢献した」と過去形で評価するのは少々早すぎる観がある。
オバマ氏の授賞理由は(1)核なき世界に向けた構想と努力(2)国際政治の場への新たな環境の整備(3)国際紛争解決における対話と交渉の重視(4)気候変動での建設的な役割―などとされる。現実に目を向けると「核兵器なき世界」への取り組みは緒に就いたばかりだ。
世界を動かすトップリーダーの今後の活躍に期待したがゆえの授賞決定であるのは間違いない。オバマ氏には賞の名に恥じない行動が求められる。
そのためには、米国が保有する核兵器の廃絶に向けて具体的な行程表を示すべきだ。ロシア、英国、フランス、中国をはじめ、すべての保有国が共同歩調を取り、地球上から核兵器をなくせれば、これ以上のことはない。
率先して「核の傘」を畳み、世界に模範を示してこそ、ノーベル賞は輝きを増す。
「核兵器のない世界」を空念仏に終わらせないためには、ただ実行あるのみだ。できるだけ早く被爆地である広島、長崎を訪問し、犠牲者のみ霊に「核廃絶」を誓ってほしい。
在沖基地も縮小を
米国の大統領は、沖縄にさまざまな基地被害をもたらしている軍の最高司令官でもある。それだけに、ノーベル平和賞を単純に喜ぶわけにはいかない。
沖縄では米軍関係の事件・事故や騒音被害が後を絶たず、住民は危険な基地と隣り合わせの生活を余儀なくされている。
県民の大多数が基地の整理縮小を求めているのは各種世論調査の結果を見ても明らかだ。
とりわけ、市街地の中心に位置する普天間飛行場は、駐留するヘリなどの航空機が住宅地上空を飛ばずには発着できない。危険性が高く、早急な返還・撤去が求められている。
普天間飛行場は県内ではなく県外・国外へ移すのが最善の道だ。鳩山由紀夫首相の意向を踏まえ、在日米軍再編の日米合意を抜本的に見直してもらいたい。
この問題で、オバマ政権側が「日本側の話には耳を傾けるが、日米合意の実現が基本。再交渉するつもりはない」との姿勢を示しているのは誠に遺憾だ。
軍の駐留を欲しない地域に基地を展開するのは米国にとっても決して得策でないはずだ。オバマ大統領は県民の声に真剣に耳を傾けてほしい。
ノーベル平和賞受賞を機に、戦後64年間も続いてきた米軍基地の過度な集中を是正するならば、多くの県民がもろ手を挙げて称賛するだろう。
栄えある賞を汚さないよう、大統領として正しい選択をすることを切望する。
次の記事:>>
今日の記事一覧
今月の記事一覧
最近の人気記事




ウィークリー1毎日更新!求人情報ならこちらから!
ぷらっと沖縄県内最大級!!お店選びが楽しくなるサイト!
総合住宅展示場アワセベイ住みたい家がここにあります。
しんぽう囲碁サロン世界中の囲碁ファン会員と対局
ライブカメラ琉球新報泉崎ビルに設置したライブカメラ
りゅうちゃん商店ウェブサイトからも購入可能に!
ちょBit新報パーソナルアド
琉球新報開発豊富な実績と媒体で、沖縄の心を結ぶ代理店です
琉球新報の本琉球新報の本がネットでも購入できます
週刊レキオ生活情報満載の副読紙。毎週木曜お届け
新報カルチャーセンター130講座 学ぶ楽しさがいっぱい
新報ローカルブログミニコミ紙連動のローカル情報

〒900-8525 沖縄県那覇市天久905
紙面・記事へのお問い合わせは、読者相談室までどうぞ。
電話098(865)5656 (土日祝日をのぞく平日午前10時〜午前12時と午後1時〜午後4時)
©The Ryukyu Shimpo
本ウェブサイト内に掲載の記事・写真の無断転用は一切禁じます。すべての著作権は琉球新報社または情報提供者にあります。