泡盛メーカー最大手・久米島の久米仙(島袋周仁社長)が海外市場開拓を加速している。国内の飲料・酒造会社と新たなジャンルの製品の共同開発にこぎ着け、強い酒が好まれるロシアへの輸出も本格化させる。国内での泡盛市場が頭打ち状態にある中、海外に打って出る戦略が強みとなりつつある。
■驚きのメール
同社が出荷する国は17カ国に上る。宇江城昌吾営業部長にロシアから長文のメールが届いたのは2005年秋。泡盛について驚くほど詳しい知識があり、ロシア市場は有望と促す送り主は、海外の見本市で名刺交換していた人物だった。
清酒メーカーの大関(兵庫)とも情報を交わし、相手方の総合食品輸入業・AST社が円建て決済を確約したことで06年、輸出に踏み切った。世界的な健康志向でアルコール度数の低い酒が主流となる中、ロシアはなおウオツカのような強い酒が好まれる。同社は泡盛「ブラウン」「ブラック30」などを輸出した。
ロシア市場での泡盛・焼酎類のシェアは、三和酒類(大分)の「いいちこ」が65%で1位。久米島の久米仙は16%で続く。富裕層向けスーパーなど、同社の泡盛を置く店は増えている。
今月3日までモスクワ市で開かれたロシア第2の規模の商談会(出展社620社)に初出展。泡盛を試飲する人の列ができ、用意した酒が足りなくなり、取引先から取り寄せて60本を飲み切る人気ぶりだった。
宇江城氏は「ウオツカよりも芳醇(ほうじゅん)で、のど越しが良いと評価する人が多かった。約600店ある日本食レストランは増加の一途。健康志向の日本食ブームの中で泡盛の販路はもっと広げられる」と手応えを語る。ロシアと気候や好む酒が似通う北欧への展開もにらみ、フィンランドなどの市場の情報を集めている。
■海外で培う人脈
一方、海外見本市への出展を重ねる中で関係を築いた木村飲料(静岡県)と梅乃宿酒造(奈良県)とは相次いで新商品を共同開発した。サイダーのノウハウがある木村飲料とは「もろみ酢サイダー琉球泡水」(希望小売価格210円)を開発。梅乃宿とはドバイでの見本市で知り合い、国内初の日本酒と泡盛ベースの「球美の梅酒」(同1680円)と「あらごし球美の梅酒」(同2200円)を売り出した。市場の反応は良く、いずれも台湾、香港への輸出が決まっている。
島袋社長は「本土出荷は頭打ち状態だが、手をこまねいてはいけない。商機を見据え、可能性がある新商品の開発、市場開拓に目を凝らさないといけない」と話した。(松元剛)
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