中城湾港泡瀬沖合埋め立て(東部海浜開発)事業について、東門美津子沖縄市長と仲井真弘多知事がそれぞれ記者会見し、新たな計画を策定し直して第1区域の事業再開を目指す方針を表明した。
経済的合理性がないとして公金支出を差し止めた福岡高裁判決に上告しないが、事業は断念せず、再開の道を探るという分かりにくい判断だ。
県と市は、干潟の約2割を埋め立てる第2区域を中止することで、推進派と反対派がぎりぎり折り合える「ベターな選択」と考えたのかもしれない。
だが、海浜開発事業を継続することに変わりない。この問題では経済的合理性もさることながら、埋め立ての是非が問われていることを念頭に置く必要がある。税金の無駄遣いがないかを検証するだけでなく、南西諸島が誇る豊かな自然環境を守れるか否かという環境的合理性の視点が欠かせない。
1区の埋め立て面積はおよそ96ヘクタール。土地利用計画を練り直したところで、人工島の造成を前提としたプランなら、海域の生態系は保全可能と説明されても、保証の限りではないだろう。
鳩山由紀夫首相は、就任後初の所信表明演説で「人間のための経済」への転換を提唱した。行きすぎた市場経済に触れ「経済合理性や経済成長率に偏った評価軸で経済をとらえるのをやめよう」と呼び掛けた。政権交代を実感させるフレーズである。
大規模な公共事業として計画された泡瀬沖合埋め立ての場合もしかり。バブル景気に沸いた時代のプランが21世紀に通用すると考える人は少ないだろうが、規模をコンパクトにして経済合理性を追求すればいいという訳でもない。
環境を軽視できない時代である。これ以上の埋め立ては生態系への影響を懸念する民意に反しよう。埋め立てに頼らない経済活性化策に知恵を絞ることこそが、21世紀のリーダーに求められる役割だと認識したい。
確かに、沖縄市は極東最大の米空軍嘉手納基地をはじめ広大な米軍施設を抱えている。限られた市域の中で、東海岸に活路を見いだそうとした経緯を、日米政府は重く受け止めてもらいたい。
基地の存在は生活環境に著しく影響する。少なからず返還されたら、市としても活性化の拠点づくりができる。発想の転換を説く首相の意にも沿うはずだ。
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