米軍普天間飛行場の辺野古移設にも「反対」と話すUAさん=神奈川県
県民大会に「気軽に参加してほしい」と話す伊丹さん=10月30日、北中城村内
県内外のミュージシャンが、県内の米軍基地に「ノー」を突き付けている。歌手のUA(ウーア)さんは東村高江のヘリパッド建設とともに普天間飛行場の県内移設にも反対を表明。宜野湾市に住む伊丹英子さん(ソウル・フラワー・ユニオン)は米軍機の騒音に憤る。2人は9月の音楽祭で「基地はいらない」と訴えた。音楽の力が県民大会を後押ししている。
◆UA(ウーア)さん、森・海の破壊に反発
地球を生命体として、東村の高江の場所は「母へとつながるへそ」と言う。その高江に米軍がヘリパッドを建設することに、歌手のUA(ウーア)さんは「生理的な身震い」を感じて、建設反対の住民らと同調してきた。高江との出合いは「昼はセミの大合唱、夜は信じられないほどの蛍が飛ぶ」大地の姿だった。うっそうと茂る緑の森に、命の源泉を感じた。その安寧を打ち破るかのように、県内で次々浮上する森、そして海の破壊行為。「何てことするの。ひどいという感覚。理屈じゃないんです」。不自然に対する嫌悪感が反発の源流をなす。
自然とはほぼ無縁の大阪の街で生まれ、育ったという。東京都心を5年前に離れ、神奈川の山間の街に現在住む。沖縄は「自分にとって治癒される場所。特別な場所で切り離せない。掛け替えのない場所」という。
自然、文化が県内と近似性がある奄美大島が母の出身地だ。「母から受け継いだ血、DNA、遠い記憶なのか」。「血がさわぐ、こんな場所があったんだ。ショックを受けたのが沖縄」なのだという。
知り合いのバンドが本島北部で野外ライブをした際の感想「森は黄金やった」との言葉が耳に残り、取材に訪れたライターの紹介もあって、2年前の夏に高江を訪ねた。「ジャングルの中。子どもたちは川で裸で遊んでいた。ハブなんか怖がっていないんです」。そんな光景にUAさんは、自らの原風景を感じたようだ。自然とそこに暮らす住民の姿に触発され「衝撃を受けた」という。そのコントラストとして、親友の一人で高江に住み、自給自足的な生活を営む女性に聞かされたのが米軍ヘリパッドの建設事業だったという。
「えーっ。何でここに」。あまりの落差に絶句した。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設についても「もう絶対反対です」と言う。人の営みと無縁な「人工的な不自然さが埋め尽くすこと」への嫌悪感。それに「戦争という古めかしい」軍事装置への恐怖心が、生への不安を駆り立てた。
破壊の現場に出くわすたびに考える。「人間なんか、と思うこともあるけど、やっぱり生まれたばかりの娘を見ていると単純に、こう涙が出るというか。この感覚があるからみんな続いているんだと思う。理屈じゃないんです」。自らの「へそ」の大地・高江を通して、純な生への破壊に「ノー」の声を上げる。(斎藤学)
◆伊丹英子さん、沖縄の怒り 国中へ 大会で「平和の芽」期待
「この不条理を許していいのか」。2歳の娘が頭上を飛び交う米軍機の爆音に耳をふさぎ、泣き叫ぶ。2004年、宜野湾市に移り住んだロックバンド、ソウル・フラワー・ユニオンの伊丹英子さん=大阪府出身=が「安いから」と借りた家は普天間飛行場のすぐ近く。日常的に危険にさらされ続ける恐怖に憤った。
しかし娘が通う保育園の親の中には基地と関連する職に就く人も多く、話題にすることに遠慮を感じた。「心の中に『基地はいらない』という思いがあるのに政治的にタブーにされ対立させられている」と思った。
「ソウル―」は三線を手に阪神大震災直後の仮設住宅を回り、音楽を届けた。東ティモールやパレスチナなど民族紛争を抱える地域でも演奏した。9月に「戦争はいらない、もっと音楽を!」をテーマに宜野湾市で音楽祭「ピース・ミュージック・フェスタ!」を開いた。伊丹さんは実行委委員会の共同代表として奔走。趣旨に賛同した加藤登紀子さん、新良幸人さんら県内外のミュージシャンが出演し、音楽を通じて平和を訴えた。
フェスタでは県内各地で反基地運動を続ける人たちがブースを設け、現状を説明した。娘の保育園の保育士や親も参加し、声を上げて盛り上げてくれた。音楽を通じて聴く人の心に平和について考える“種”をまくことができたと手応えを感じている。
自身も参加予定の県民大会ではその種が芽を出すことを期待する。「『沖縄は怒っている』ということを国中に示すチャンス。フェスタで何かを感じた人は来てほしい」と力を込めた。(荒井良平)
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