米南部テキサス州のフォートフッド陸軍基地で銃乱射事件が起きた。米国では、商業地域や学校などで市民による発砲事件が後を絶たず銃社会の危険性が指摘され、問題点も多いが、厳しい軍律で管理され、国防を担う兵士が基地施設で銃を乱射し、同僚兵を巻き込んだ事件に戦慄(せんりつ)を覚える。最悪の事態を招いた原因究明を求めたい。
米紙などによると、乱射で拘束された容疑者は、2001年に医師免許を取得し、今年7月から同基地に勤務。心的外傷後ストレス障害(PTSD)などに悩む兵士のカウンセリングを担当していた。
ヨルダン系米国人との報道もあり、米中枢同時テロ後、軍内で差別を受けていたといわれる。海外従軍に悩み、除隊の意思を漏らしていたともされる。心の闇は推し量れないが、米国が続ける戦争が影を落としているといえよう。
01年9月に起きた同時テロをきっかけに始めた米国のテロとの戦いは9年目を迎えている。今なお、6万人を超える兵士がアフガニスタンに展開し、反政府武装勢力タリバンとの戦闘を続ける。
戦闘の長期化は、米軍の人員不足にもつながっている。不足を補うため米国防総省は、これまで1年だった従軍期間を15カ月に延長し、休息期間を2年から1年に短縮した。除隊希望者には延期措置を求め、拒否すれば医療保険や学費補助などの受給権利を奪うといった措置も取っている。
兵士の精神的な負担は大きく、深刻だ。このような軍内環境が銃乱射の引き金となったのなら、早急な救済策を講じるべきだ。
イラクの首都バクダッドでカウンセリングを受けていた米兵が銃を乱射し、医師らを射殺した事件が今年5月にあった。兵士の心的な疲弊が取り返しのつかない事態を引き起こしている。
在日米軍人は、陸、海、空、海兵隊を合わせて3万3286人(08年9月末現在)、うち在沖米軍人は2万1277人(同)と約64%を占める。これら母国を離れた兵士たちの精神面を支える取り組みにも力を尽くしてほしい。
オバマ米大統領は、初来日の日程を変更してまで追悼式に出席し、今回の銃乱射問題の全容解明を約束している。まずは、無為な戦争から早期に撤退を図り、疲れ切った国民の心の安寧を取り戻すことに努めるべきだ。
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