県民の願いに、誠実に応える柔軟性や展望はあるのか。岡田克也外相の言動は、疑問だらけだった。
「住民との対話」を掲げ就任後2度目の来県をした外相だが、米軍普天間飛行場問題について、行く先々で県内移設合意の不履行による「日米同盟の危機」を強調した。聞き役ではなく、まるで官僚に操られた“危機煽(あお)り役”だ。
県民は戦後64年間の基地とのかかわりの中で、何が現実的で、何が非現実的かを理解している。
公共事業など基地がもたらす恩恵は限定かつ一時的であるが、基地被害などの不利益は広範かつ長期に及び、基地は固定化する。
米軍が兵士の綱紀粛正、騒音防止措置など住民生活への配慮を徹底すると言っても、米軍絡みの犯罪や被害はなくならない。
国の天然記念物ジュゴンなど希少生物や豊かな自然をはぐくむ辺野古の海への新基地建設に、国内外の環境保護団体が異議を唱え、国際世論も辺野古移設を許さない。
「辺野古合意が最善」との考えには根拠がない。日米両政府は沖縄の戦略的重要性を誇張し、米海兵隊の駐留に執着するあまり、日米関係が深化ではなく劣化しかねない現実こそ直視すべきだ。
鳩山由紀夫首相は自民政権と官僚が営々と築いてきた対米追従外交に風穴を開けるべく、まずは閣内の意思統一を図るべきだ。普天間撤去こそが現実的で、日米関係への信頼を改善し、日米両政権の価値を高める道だ。
岡田外相は衆院沖縄4区の議員懇談で、米側が辺野古にこだわる理由について「オバマ大統領が米国内で支持率が下がっている中、議会から対日交渉で弱腰だとの批判を避けたいのではないか」と推察した。国民よりも米国の意向に顔が向いた情けない発言だ。
米政府高官は普天間問題の越年について「懸念は伝えたが、日米関係は成熟している。日本は最も重要な同盟国の一つだ」とし、国務省のケリー報道官も「米国は日本政府の見直し作業を喜んで手助けする」と述べた。日本の官僚が民主党の「県外・国外移設」方針に待ったをかけ、執拗(しつよう)に「日米同盟の危機」を煽る姿とは大違いだ。
鳩山内閣は普天間撤去へ向け、政治主導の真価を発揮する時だ。鳩山、オバマ両首脳が特使を派遣し、政治主導で打開を探るぐらいの強い指導力が必要だ。
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