米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部移設をはじめとする在日米軍再編の日米合意を推進するため、外務省が米国の圧力を実際以上に強調し、世論誘導を図ろうとした疑いが浮上してきた。
外務省側によると、藤崎一郎駐米大使は21日にクリントン米国務長官に呼ばれて国務省で緊急会談、普天間飛行場の移設など現行計画の早期履行を求められたとされる。日本のメディアもそのように報じている。
ところが、米国のクローリー国務次官補は22日の記者会見で、国務長官が藤崎駐米大使を呼び出したのではなく「藤崎大使の方から訪れた」と言明した。事実だとすれば、藤崎大使とクリントン国務長官の緊急会談は日本側による「演出」だったことになる。
クローリー国務次官補は広報を担当する高官だ。長官が大使を呼んだかどうかも把握せず、いいかげんな回答をしたのだろうか。
外務省は「米国務省に事実関係を照会したところ、次官補の発言が間違いで、藤崎大使はクリントン長官に呼ばれて会いに行った」などと照屋寛徳衆院議員らに説明した。だが外務省の誰がいつどのように事実関係を確認したかは明らかにしなかったという。
そもそも、米国務省の誰それが、いつ、どんな理由で日本側に大使の呼び出しを求めたのか。日本側は誰がどう対応したのか。すべてを明らかにしないことには「世論誘導」の疑念は消えない。
呼び出されて注文を付けられるのと、自ら出向いて要望を聞くのでは会談の意味合いが全く異なるからだ。仮に外務省の言い分が正しいとしても、現行計画を後押しするため、外務省の方から「大使を呼び出してほしい」と米側に働き掛けたのではないか―と勘繰りたくなる。
日米合意の見直しは外務、防衛両省にとって大変な労力を要する難作業だ。外務官僚らが現行計画の変更に抵抗するのは容易に察しがつく。
だからといって、外圧を利用して自分たちの都合のいい方向に事を進めようと考えているのだとすれば、それこそ外交の私物化だ。決して許される行為ではない。
米国務次官補の記者会見は、国務省ホームページに質疑応答が公開されている。外務省は、次官補発言が誤りだと言うのなら、大使が呼び出されたとする経緯を含め、きちんと公表すべきだ。
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