平野博文官房長官が就任後初めて来県した。「官房長官として県民の実態、基地の実情を自らの目で見たい」と述べた。その意欲を評価し、歓迎する。
ただ、平野氏は辺野古のほか嘉手納基地や下地島、伊江島も視察するという。普天間飛行場の移設先として念頭に置いているのだろう。あくまで県内移設を模索するつもりなら、誤りだ。
民主党は「代替基地は県外・国外」と主張してきた。総選挙のマニフェストに明記していないと言っても、選挙中、鳩山由紀夫代表が「最低でも県外」と発言した事実は重い。
下地島や伊江島に移設するなら明白な公約違反だ。県民の猛反発に遭い、これもまた辺野古同様、実現不可能な案となるだろう。
わたしたちは、米海兵隊を米国領内に撤退させるべきだと主張してきた。海兵隊は他国への侵攻が役目で、抑止力などではなく、「専守防衛」に反するからだ。在沖海兵隊がイラクに派遣されている事実を見れば十分だろう。
沖縄以外の国内に置くのは本意ではない。国外と並び県外も主張するのは、政府があくまで抑止力だとの姿勢を変えないからだ。
沖縄の地理的条件を持ち出し、「沖縄に置くほかない」とする主張も散見されるが、強襲揚陸艦を置く佐世保から往復3〜4日を要する沖縄にわざわざ置くのは、軍事合理性にも欠ける。
その主張に根拠がないのは、米軍再編交渉でかつて米側が北部九州や北海道を提案していた事実一つを知れば足りる。
県外に置くとしても、今の規模は必要ない。南北分断に直面する当事者の韓国ですら、再編交渉で在韓米軍を三分の二削減することで合意した。日本ならなおのこと可能なはずだ。
65年も犠牲に供してきた沖縄に今後も犠牲を強いるのはあまりに理不尽と言うほかない。キャンベル米国務次官補がかつて述べたように「一つのかごに多くの卵を盛りすぎ」でもある。平野氏はその「累卵の危うき」をこそ見るべきだ。
基地の負担を全国で分担すれば、外国軍の大規模な駐留が戦後65年以上も必要か、あらためて問われる。植民地的な日米地位協定の差別性も全国の共通認識となる。そこを土台にして初めて、首相が目指す「同盟の再検討」が本当の意味で可能となろう。
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