沖縄返還時の日米密約文書の開示を求める訴訟が東京地裁で結審した。密約の存在はすでに元政府高官の証言や米国の公開文書で明らかであり、東京地裁には密約の存在を明確に認定し、政府の責任を問う判決を求めたい。
裁判で元外務省アメリカ局長の吉野文六氏は、返還米軍用地の原状回復補償費を日本が肩代わりした密約の存在を認めた。政府は長年、「密約はない」とした同氏の発言を根拠に存在を否定してきただけに、これを覆した法廷証言は密約の存在を決定的に裏付けた。
にもかかわらず被告の国は最終弁論でも「外務省、財務省が十分に探索したが対象文書を発見できなかった」と密約文書の存在を否定する主張に終始した。
文書開示請求に対し「40年の経過」を挙げ「存否を把握しようがなく」「不開示とせざるを得ない」との弁明は、まるで人ごとのようで責任感のかけらもない。
密約文書が2001年の情報公開法施行の前に廃棄された可能性も指摘されている。文書がないから密約もなかった、では済まされない。密約の存在が諸証拠で明らかな以上、文書が現存しない理由、保管の在り方、廃棄の有無など法的責任を含め洗いざらい解明する必要がある。
裁判所には「密約の存在」を認定した上で、文書の保管と開示についての国の責任を明示する判決を期待したい。
鳩山政権は同訴訟の米軍用地原状回復費など財政負担密約のほか1960年の日米安保改定時の核持ち込み、沖縄返還後の有事の核再持ち込みなど日米間の密約調査を進めている。沖縄への核再持ち込み密約を認定する方針とされている。
国民に多大な財政負担を強い、安全にかかわる日米間の重要施策が、国民や国会に明らかにされぬまま密約が交わされ実行されたとすれば民主主義の否定に等しい。
密約訴訟は主権者である国民の知る権利に基づいている。国民をあざむき、必要以上に米国に利する対米追従の安保・外交政策の“闇”を払拭(ふっしょく)する歴史的検証を求めるものだ。
返還米軍用地の財政負担の密約は、その後の駐留米軍への思いやり予算の源流ともいわれる。密約のベールを払い、国民が国政を統治するガラス張りの政治への改革が鳩山政権に求められている。
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