米軍普天間飛行場の移設先を協議する沖縄基地問題検討委員会で、社民、国民新の両党がそれぞれ移設候補地案を提示した。社民はグアムやテニアンに在沖米海兵隊のすべてを移転するA案、グアムなどを本拠地に巡回部隊の訓練を県外に移転するB案、普天間飛行場の基地機能を県外に移設するC案の3案を示した。国民新は、普天間飛行場所属ヘリを嘉手納基地に移駐した上で、嘉手納基地のF15戦闘機を航空自衛隊三沢基地(青森)、外来機訓練を関西国際空港(大阪)に移転する嘉手納基地統合案とキャンプ・シュワブ陸上部に1500メートルの滑走路を建設するキャンプ・シュワブ陸上案の2案を提案した。
<社民党・委員案>緊急時は米軍暫定利用/シュワブ跡に陸自検討
【A案 在沖米海兵隊の国外全面移転】
在沖米海兵隊のグアム移転の規模を拡大し、実質的に在沖米海兵隊の全部をグアムを含めた日本国外に移転する。キャンプ・ハンセンやキャンプ・シュワブなど在沖米海兵隊の訓練施設の返還も求める。
返還が決まっても原状回復に時間がかかることから移設完了を目指す2014年ごろまでは、普天間飛行場などの施設・区域の一部に関し、緊急時など必要に応じて暫定的に米軍の利用を認める。米軍が使用する区域を一部残した上で同時に原状回復の作業を進める。
返還したキャンプ・シュワブなどの一部に「抑止力」の観点から日本の島しょ防衛部隊(陸上自衛隊西部方面普通科連隊など)の移駐も検討する。移転先はグアムを中心に一部はテニアンなど北マリアナ諸島への移転も考える。
支援策は追加的な措置を行いテニアンに対しても同様に行う。高速輸送船など海兵隊訓練移転のためインフラ(社会基盤)も日本側が提供する。
【B案 グアムなどを起点として巡回部隊を県外で受け入れ】
在沖米海兵隊で巡回している部隊の起点をグアムへ移転する。その上で定期的な巡回先から沖縄県を外し、訓練などは県外で受け入れる。
普天間飛行場の第36海兵航空群は国外に移転するがその一部と支援部隊が常駐する施設を県外で提供することを検討する。
県外で訓練などを受け入れる地域のインフラ整備は日本政府が責任を持ち、新たな地域振興策を策定し、住民の理解を得る。14年ごろまでの普天間飛行場の暫定使用やシュワブへの自衛隊移駐はA案と同様に行う。
【C案 在沖米海兵隊の基地機能を県外に移転】
最終的に普天間飛行場を国外移転するまで、暫定的に同飛行場の基地機能をそのまま県外に移設する。公表しなかったが、社民党の検討委員2人が8日の検討委員会で個別に具体名を挙げて県外の移設先を提案。
部隊の移転先は大村航空基地(長崎)、佐賀空港(佐賀)、馬毛島(鹿児島)、米軍の岩国基地(山口)、横田基地(東京)、陸上自衛隊の東千歳駐屯地(北海道)、北富士演習場(山梨)、海上自衛隊の鹿屋航空基地(鹿児島)の8カ所、訓練先は陸上自衛隊の相浦駐屯地(長崎)などを提案したとみられる。
新たな地域振興策の策定はB案、普天間飛行場の暫定使用やシュワブへの自衛隊移駐はA案と同様に行う。
<国民新党案>訓練移転、6ヵ月に拡大/海兵隊は15年後国外に
【嘉手納基地統合案】
普天間飛行場所属ヘリ23機を移駐する。嘉手納基地のF15戦闘機28機は三沢基地(青森)へ、外来機訓練は関西国際空港(大阪)へ移転する。航空自衛隊は嘉手納での訓練を行わない。
【キャンプ・シュワブ陸上案】
1500メートル滑走路を建設し、移設する。嘉手納のF15戦闘機28機は三沢基地へ、外来機訓練は関空へ移転する。空自は嘉手納で訓練を行わない。
【2案に共通する訓練移転】
(1)フィリピン、グアム、サイパン・テニアン(2)陸自東富士演習場(静岡)(3)海自大村航空基地(長崎)・陸自日出生台演習場(大分)(4)シュワブ陸上部にヘリパッドを建設し、先行して嘉手納の騒音低減(5)国外演習(タイ・韓国など)を拡大(6)伊江島補助飛行場も訓練に使えるように整備(嘉手納案のみ)
【条件】
在沖米海兵隊は15年後にグアムなどへ国外撤退する。2案はそのための暫定措置。現在年間3カ月の国外訓練を年間6カ月の県外・国外訓練に拡大し、基地負担を軽減する。2案とも15年の使用期限とする。移設地と訓練はパッケージとする。
国外訓練はグアム、フィリピン、オーストラリア、ハワイ、韓国、シンガポール、北マリアナ諸島で行う。県外訓練は日出生台演習場、東富士演習場、大村基地、三沢基地、関空、米軍岩国基地(山口)で行う。日米地位協定を改定する。
【その他】
普天間は県内移設が現実的な対応。普天間は即時返還せず10年間閉鎖とする。米国と交渉し、在沖米軍基地を沖縄に恒久化させない。鳩山由紀夫首相は「5月末までの移設先決定」について責任を持って決断しなければならない。決断には移設先を決めるだけでなく、未来の在沖米軍基地の在り方を示すことが大事だ。
米軍の即応能力を損ねずに東アジアの平和と安定を保つためには沖縄、サイパン・テニアン、フィリピン、グアムで抑止力を分散して担うことが重要。
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