
2009年から10年にかけて、世界をゆるがした新型インフルエンザの大流行(パンデミック)はとりあえず山を越えたとみられています。今回の流行は、もともと豚インフルエンザウイルスが人に感染し、さらに人から人へと感染を広げたものです。豚の体内で豚、人、鳥の三種類のインフルエンザウイルスが混合して互いの遺伝子が入れ替わり、新型インフルエンザウイルスが生まれたのです。
この新型インフルエンザは病原性は低い一方、感染力は強いものです。しかし近い将来パンデミックが予測されている「新型鳥インフルエンザウイルス」は、感染力と病原性、致死率も高く油断できません。
現在インフルエンザ治療薬としてタミフルとリレンザが主に使われています。しかしウイルスは突然変異して治療薬への耐性を持つことがあります。今回の新型インフルエンザウイルスでもすでにタミフル耐性のものが確認されています。そこで、世界各国で次世代のインフルエンザ治療薬の開発を急いでいます。
ことし1月には点滴投与する新薬が発売されました。重症な患者さんや自力で薬をのめない人への投与が容易になることが期待されています。現在0〜15歳の小児には使えませんが、投与できるよう申請中です。リレンザと同様に専用器具を使って薬を吸い込む吸入型新薬は、国内製造販売承認申請中です。この両薬は、診断後1回だけの投与で長期間効果が得られるのが特徴です。
今までのインフルエンザ治療薬とはちがう方法でインフルエンザウイルスの増殖を阻止する新薬も、昨年秋から臨床試験の最終段階に入りました。型が次々と変異するインフルエンザウイルスに対する予防ワクチンは毎年接種しなければならないうえ、年齢によって接種回数や摂取量が異なるため煩雑でした。現在、はるタイプのもの、鼻に噴霧するもの、1回だけの接種のものなどいくつかが研究開発中です。
しかし新型インフルエンザ対策の大原則は「人ごみを避ける、手洗いとうがい、十分な休養とバランスのよい食事、規則的な生活」であることに変わりはありません。
(木下玲子、きのしたこどもクリニック)
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