子ども手当と高校無償化の両法案が衆院を通過した。不備の指摘もあるが、法案の趣旨は間違っていない。政府は不備を是正した上で、子育て支援を強化する明確なメッセージを発信してほしい。
そもそも日本は子育て支援の政府支出が先進24カ国中、下から3番目と低かった(2003年)。北欧諸国が軒並み国内総生産(GDP)比3〜4%台、英仏両国も3%前後なのに、日本は0・7%にすぎない。
子育ての負担を社会全体で支える意識が希薄だったせいだろう。今後はそこに公的支出の力点を置く、と方向性を明示することが、社会的認識の醸成につながる。
選挙目当てのばらまきという批判は的はずれだ。子ども手当は衆院選での民主党の目玉公約であり、選挙結果からすると国民がそれを選択したと見るべきだ。公約を実施しない方が政治不信を招く。
自民党は、国内在住の外国人も対象で、外国に残した子の数の水増しなどにより不正が可能と指摘する。だがその不備は現行の児童手当にもある。不備は是正すべきだが、民族感情を刺激する形での議論は差別を招きかねない。
冷静に議論すべきだ。国籍で差別せず、在日外国人でも国内に子どもが居住する場合を支給対象とするなど、方法はあろう。
保護者が海外にいる児童・生徒を支給対象外とする点は疑問だ。児童養護施設にいる子も親が不詳なら対象外とした点も、法の趣旨に背く。修正してもらいたい。
問題は財源だ。本来は1人月額2万6000円だが、今回は半額の1万3000円とした。それでも、必要な2兆3000億円を確保するため、児童手当の地方負担を組み込む苦肉の策を取った。来年度はさらに3兆1000億円増えるが、財源の見通しは立っていない。
防衛費や思いやり予算など、昨年の事業仕分けで対象としなかった分野の仕分けも必要だ。財源捻出(ねんしゅつ)へ建設的な議論を期待したい。
高校無償化で朝鮮学校を除外せよとの主張は、いたずらに民族感情をあおっている感がある。国連の人種差別撤廃委員会は除外に懸念を表明した。教育の機会提供に差別があってはならない。
両法案は育児支援強化の一里塚にすぎない。保育所や公教育、小児医療の充実こそ、少子化対策の切り札となる。政府はそれらの充実にも大いに取り組んでほしい。
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