政府が、県と沖縄の基地負担軽減策と振興策を話し合う新協議機関設置の方針を固めた。負担軽減策と言えば聞こえはいいが、何やら衣の下から鎧(よろい)が見える。
普天間基地移設について菅直人首相は2日の討論会で「辺野古以外の負担を先行して軽減できる道はないか」と述べている。だが「日米合意の順守」が前提だ。負担軽減策を先に行うことで、移設を受け入れさせるという意図が透けて見える。
沖縄をなだめすかし、新たな負担をのませる場にするのなら、そんな協議機関は要らない。県がこの協議機関の設置に前のめりになっているのはどうしたことか。政府との対立の持続に耐えられなくなっているとしか思えない。
普天間移設は議題から除外するというが、政府側は「沖縄との協議は進んでいる」という宣伝に使うだろう。一般国民に対し、沖縄の反対は終息した、という誤ったメッセージを発することになりかねない。すると問題は国民的関心事でなくなり、基地問題はますます解決から遠のいてしまう。
協議機関の設置要綱が要注意だ。普天間移設も将来、議題になり得るかのような表現をしのばせないか。県がどうしても参加するというなら、普天間問題の入り込む余地が一切ない要綱とすべきだ。
そもそも負担軽減は政府が率先してなすべきものだ。沖縄の同意も得ずに沖縄の施政権を切り離したのは政府だからだ。その間に沖縄は基地の島にされ、復帰後も本土の米軍基地は41%も返還する一方、沖縄では18%にとどめた。
沖縄へのしわ寄せを反省するのなら、政府は、他の負担軽減を図るのと同時に、普天間の県内移設を断念するのが筋だろう。
協議機関は沖縄振興特別措置法の期限切れ後の法整備も話し合うという。ポスト沖縄振興計画と普天間移設受け入れを交換条件にするつもりのようだ。
1971年の沖縄国会で当時の総務長官は、沖縄関連法案の立法趣旨について「償いの心」と述べた。
1人当たり公共投資額の戦後の累計で、沖縄は今も全国平均の7割程度にすぎない。つまり、「償い」はまだ終わっていない。それなのに今や「振興」は基地との交換条件に変質している。
政府の対応は理不尽と言うほかない。そんな協議機関には乗れないし、乗るべきではない。
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