環境省は39年ぶりに国立・国定公園の指定を見直した。
県内から、やんばる(沖縄島北部)と慶良間諸島沿岸海域を国立公園の新規候補に、国立公園に入っている西表島およびその沿岸海域を拡張が必要な地域に挙げた。
琉球諸島は国内唯一の亜熱帯性気候で、貴重な生物が数多く生息する多様性が特徴だ。
しかし、米軍基地の存在や外来生物の脅威、開発に伴う環境への影響が懸念され、保護体制も十分とは言えない。
国立公園に指定されると開発が規制される。国の動きと同時に県には、希少種保全に取り組む生物多様性地域戦略の策定を求めたい。
最終的に、琉球諸島を世界中の人々が共有し、未来の世代へ引き継ぐべき宝物として、世界自然遺産への登録を目指してほしい。
サンゴ礁やマングローブは、水中の生き物をはぐくみ自然の防波堤の役割も果たす。亜熱帯の森林は貴重な野生生物のすみかで、二酸化炭素(CO2)を吸収する。
国連環境計画(UNEP)の試算によると、何も対策をしなかった場合、生態系の破壊による経済損失は、世界で年間最大4・5兆ドル(約380兆円)。一方、その1%に当たる年間450億ドルを自然保護に投じれば、生態系から得られる利益は年5兆ドルという。
世界自然保護基金(WWF)ジャパンが作成した生物多様性優先保全地域地図によると、南西諸島の陸域の約37%、浅い海域の33%が優先保全の対象になっている。
一度失われた生物多様性を取り戻すのは難しい。
照葉樹林が生い茂るやんばるには、ヤンバルクイナやノグチゲラなど希少野生生物が生息する。
同地域にはSACO(日米特別行動委員会)で返還が合意された米軍北部訓練場が含まれる。当時の返還条件は、同地域へのヘリコプター着陸帯移設だった。
だが、掛け替えのない貴重な生物多様性を誇る同地域の生態系をこれ以上悪化させてはならない。同時に日常生活の中での取り組みも欠かせない。
琉球諸島が世界自然遺産に登録された光景を思い浮かべてみよう。
やんばるで森林浴をし、ヤンバルクイナやノグチゲラを観察する。慶良間では豊かなサンゴ礁の生き物やザトウクジラと出合い、西表島では国内最大規模のマングローブで多様な生物に触れ合う。未来へ引き継ぐべき姿ではないか。
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