イリオモテヤマネコ(沖縄森林管理署、琉球大提供)
イリオモテヤマネコの歯にできた年輪。写真は4本あるので推定年齢は5歳(琉球大提供)
中西 希研究員
これまで年齢判別法が存在しなかった国の特別天然記念物イリオモテヤマネコの歯に、木材のように年輪ができており、それを数えることで年齢が分かることを琉球大学大学院理工学研究科の中西希(のぞみ)研究員らが発見した。
識者は「年齢別の行動特性を踏まえ、今後の保全活動など幅広い分野での活用が見込まれる」と期待している。英学術誌「Journal of Zoology」に論文が掲載された。
イリオモテヤマネコは1965年に発見されて以来、これまで明確な年齢の判別法が存在せず、犬歯の削れ度合いなどから年齢は大まかにしか分からなかった。
中西研究員らは2001年から歯に着目し研究を続けた結果、歯の断面にできた筋に1を足した数が年齢であることを突き止めた。
歯の断面に年輪ができることは寒い地域にすむアザラシやクマなどで確認されていた。だが亜熱帯地域の沖縄では餌が途絶えたり冬眠する必要がなく、哺乳(ほにゅう)類の歯に年輪はできないと考えられていた。
イリオモテヤマネコの歯に年輪ができる理由は未確定だが、定期的に起きる体重変化や繁殖期の影響などが考えられるという。
今回の研究も含め、長年にわたるイリオモテヤマネコの研究が評価され、9月に日本哺乳類学会で奨励賞を受賞した中西研究員は「イリオモテヤマネコは夜行性で森の中にすんでいるので調査が難しい。いい結果が出てよかった」と振り返った。
指導する伊澤雅子教授は「生態が分からないと保全もできない。基礎データの収集を重ね、保全活動に還元したい」と話した。
イリオモテヤマネコの保全にかかわる環境省西表野生生物保護センターの岡村麻生(まき)・自然保護専門員は「年齢別の行動分析などと併せることで、交通事故に遭ったイリオモテヤマネコの年齢の偏りを基に事故防止策を練るなど保全に役立つ。今後の生態研究深化にもつながる」と意義を挙げた。(知念征尚)
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