外来機が飛来するなど騒音が激化する米軍嘉手納基地。改善されない爆音被害に2万人を超える周辺住民が訴訟に参加し飛行差し止めを求める=2010年4月(上空から撮影)
【中部】米軍嘉手納基地の周辺住民が米軍機の騒音による精神的苦痛などを訴え、米軍機の夜間、早朝の飛行を止めようと、提訴に向け準備を進めている第3次嘉手納爆音訴訟は原告数が2万人を超えることが12月31日までに、関係者の話で分かった。2万人を超える規模の集団訴訟は国内で例がない。原告約5500人のマンモス訴訟と言われた第2次訴訟の4倍以上になる大規模原告団で騒音を放置し続ける国に異議を申し立てる。原告団は3月に訴訟を起こす方針。
原告は嘉手納基地周辺に位置する嘉手納町、北谷町、沖縄市、うるま市(旧具志川市、石川市)、読谷村の住民ら。騒音が続く時間や回数などを総合し算出する、うるささ指数(W値)75〜95以上の区域に居住している。原告、弁護団は3月の提訴に向け、原告の最終的な取りまとめや訴状の準備を進める。
嘉手納爆音訴訟は1982年に第1次、2000年に第2次が提起された。原告数は判決時点で第1次は906人、第2次は5540人だった。全国の同種訴訟は第4次厚木爆音訴訟が原告約7千人で最も多い。
第2次訴訟で原告は(1)午後7時から翌日午前7時までの航空機離着陸の禁止(2)午前7時から午後7時までに発生する航空機騒音の制限(3)騒音で被った精神的苦による過去や未来分の慰謝料―などを求めた。今回も同様の請求になる見込み。
判決は1次、2次の高裁判決ともに米軍機の飛行などは国の支配が及ばない第三者(米軍)の行為だとして飛行差し止め請求を棄却した。一方でW値75以上区域の騒音の違法性を認定し、国に損害賠償の支払いを命じた。2次訴訟の控訴審判決は「受忍限度を超える騒音は明らか」と断じた。
第2次訴訟は飛行差し止めなどを求めて最高裁へ上告中。2010年12月28日現在、最高裁は「継続中。(審理)期日は入っていない」としている。
◆復帰求めた運動と同じエネルギー
高良鉄美琉球大教授(憲法)の話 平和に生きるためにと復帰を求めた運動と同じエネルギーを感じる。復帰運動も引いて見ると人権や憲法の問題にある。しかし、昨今の普天間飛行場の問題など構造的な差別が浮き彫りになり、基本的人権や平等権を保障する憲法が適用されていない実態への不満が原告2万人を超える流れにつながったと言える。憲法の軸からすると、嘉手納基地の騒音問題は憲法の原則に反している。根本的な解決を図る必要がある。司法は人権保障の砦(とりで)、憲法の番人。住民は憲法に頼っていることを司法は真正面から向き合わなければならない。
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