日本中が無縁社会から、絆社会へと大きく変化し始める。そんな兆しとなってほしい。
誰もがそう願うようなブームが起きている。「伊達直人(タイガーマスク)現象」のことだ。
始まりは昨年のクリスマスの朝。前橋市の県中央児童相談所に届いた「伊達直人」さんからの10個のランドセルだった。
1968年から少年雑誌に連載され、69年にはテレビアニメにもなった人気プロレス漫画「タイガーマスク」の主人公の名が伊達直人。その名を使った善意の寄付だった。
漫画の世界で、伊達直人は「ちびっこハウス」という児童養護施設の出身。悪役プロレスラーになった伊達青年は、ファイトマネーで施設を支援し子どもたちを支える。
県内でも南城市の施設に今月、ランドセル5個が届けられた。
事前に「小学1年生は何人?」との問い合わせがあり、職員が現在の1年生と思い3人と答えたため当初は3個届くも、その後「新1年生は5人」と分かり、追加で2個が後日届けられたと聞く。
人数分という細やかな配慮までもが、心を洗う話題となった。
「伊達現象」は、全国に飛び火し、善意の輪は急速に広がっている。すでに300件を超える匿名の寄付が全国で相次いでいる。
100万円をポンと寄付する匿名の篤志家も複数出ている。小中学生から「施設の子どもたちに」と文具やおもちゃ、お菓子の差し入れもある。老若男女を問わず、伊達現象は末広がりをみせている。
支援はお金だけじゃない。必要とされているモノを、しっかりと調べた上で準備し届けている。
乳児院にはベビーカーが、赤ちゃんポストには紙おむつが、「伊達直人」名で寄せられている。
事情に詳しい「近しい人」かとの憶測も呼ぼうが、寄付者を探り回るようなやぼなことはすまい。
地域社会がつながりを失い、「無縁社会」化が社会問題となる中で、親きょうだいすらも疎遠になり、独居老人が増え、孤独死も頻繁に報道される。
寄付というと照れもあろう。公道での募金の呼び掛けにも、心は動くも行動に移せない。そんな人も多いだろう。
無縁社会の中で、ヒーローの名を借り始まった善意の広がりは、失われたかに思われた日本社会の「絆」を取り戻す社会的なうねりにもみえる。行方を見守りたい。
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