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拝啓・米議会の友へ/普天間撤去へ劇的転換を 試される米国民主主義2011年4月27日 
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 米国がくしゃみをすれば日本もくしゃみをし、右を向けと言えば右を向く。考え方の違いに敬意を払い、耳障りな意見も述べ合う。日米関係でどちらをお望みですか。
 米上院軍事委員長カール・レビンさま、外交委員会東アジア・太平洋小委員会委員長ジム・ウェッブさま、米議会を代表するあなた方の沖縄訪問を歓迎します。滞在中に多くの県民との対話を望みます。
 戦後66年間、沖縄にとって米国は民主主義の教師であり、反面教師でもありました。長い付き合いの中で人権を尊重し合う真の友好関係をどのように築くか、県民は誠実に提起してきました。

続く「屈辱」我慢も限界
 「4・28」。59年前の1952年4月28日、サンフランシスコ講和条約と日米安保条約が発効した日です。連合国の占領軍が撤退し、日本は独立。沖縄と奄美大島は講和条約により日本から分離され、米軍施政下に入りました。
 米軍は戦後、銃剣とブルドーザーによる基地建設、傍若無人な振る舞いによる人権蹂躙(じゅうりん)、自治権制限など幾多の苦難を沖縄に強いました。その出発点「4・28」を沖縄住民は「屈辱の日」として語り継いできました。しかし、米軍の屈辱的仕打ちは今も続き、穏やかな県民の我慢ももう限界です。
 最も象徴的な問題は普天間飛行場の返還問題です。1996年4月、日米両政府は住宅密集地にある普天間の返還に移設条件付きで合意しましたが、県民は基地の新設は負担が重いと、ずっと異を唱えてきました。
 日米両政府が合意している普天間の名護市辺野古移設は、仲井真弘多県知事と県内41市町村の全首長が反対しています。県議会は県外・国外移設を決議。国政選挙では県内移設容認の政治家がことごとく落選しました。昨年5月の日米合意後の県民世論調査では辺野古移設反対が84%に達しました。
 米国務省のケビン・メア前日本部長は、クリントン長官に普天間問題の見通しを聞かれ「最悪の場合でも現状維持で、米軍にとって問題はなく米国に不利益はもたらさない」と伝えました。無責任です。米国も当事者であり危険の放置に罪悪感を感じるべきです。
 県民は沖縄戦で本土防衛の「捨て石」にされ、戦後は日米安保の「捨て石」にされていると感じています。根底には沖縄への構造的差別があることも。
 日本の国土の0・6%にすぎない沖縄に、在日米軍専用施設の74%、在日米軍兵力の7割が集中しています。これは不公平です。
 3月11日に発生した東日本大震災後、米軍と自衛隊は「トモダチ作戦」を展開、救援物資輸送やがれき撤去、仙台空港の復旧などの活動が感謝されております。
 献身的な兵士に敬意を表します。ただ、基地の過重負担にあえぐ沖縄の現実、米軍の日常の振る舞いと重ね合わせギャップも感じます。

霞むオバマ政権の理想
 本土復帰後も基地被害は絶えません。米軍機事故は墜落、不時着など約500件を数え、米軍人・軍属などの犯罪は5500件余発生し凶悪犯が560件を超えます。女性が泣き寝入りする暴行事件など凶悪犯は潜在しているといわれています。
 在日米軍の特権的地位を認めた日米地位協定について、県民は不平等条約として抜本的な改定を求めています。県民の総意です。
 最近も、死亡事故を起こした米軍属が「公務中」を理由に不起訴処分となりました。地位協定に基づく日米両国の人命・人権軽視の取り扱いは見過ごせません。
 オバマ大統領の就任当初は県民も「変革」に期待を膨らませました。共和党政権の単独行動主義から国際協調への転換、「核なき世界」提唱が沖縄にどう影響するか。
 オバマ氏が語る理想、新たな挑戦に、自国の国益だけでなく、人類の持続的発展を目指す「人類益」の萌芽を感じ取ることができました。
 しかし、いつの間にか軍の論理に押され理想が霞(かす)んでいませんか。
 辺野古の海は天然記念物ジュゴンが生息する貴重な海です。新基地建設を強行すれば、米軍は沖縄住民だけでなく日本国民と世界の自然保護運動の敵意に囲まれます。
 普天間の閉鎖、撤去によって「善き隣人」関係の再構築が必要です。お二人には誠実な「沖縄の心」を感じ取ってほしい。そして米国民主主義の真価を示してください。日米合意は民意を尊重し劇的転換が必要だ、との決意とともに。
英文へ→〈Editorial〉Open letter to Mr. Carl Levin


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