県内での観光消費が生み出す経済波及効果が2009年度は6616億円に上るとの試算がまとまった。5年に1度の県の調査で、京都市や北海道など国内を代表する観光地と比較しても経済波及効果の割合が高いとする内容だ。
経済効果が具体的に明示されることで、課題もより明確になった。古くて新しいテーマである「量から質」への転換だ。滞在日数の拡大など沖縄観光が抱える構造的問題を打破することが、経済効果を高める近道であることを同調査は示唆している。
観光は裾野が広い総合産業とされ、県経済の活性化に寄与する先導的産業と位置付けられる。観光の持続的な発展が消費と生産を誘発し、雇用の拡大など、直接、間接的な波及効果が大きいためだ。
県調査は、世界観光機関(UNWTO)が定めた指標で、観光が生み出す付加価値の総額を示す「観光GDP」による沖縄と各国との比較も行っている。沖縄の観光GDPは県内総生産の4・6%を占めるが、これはニュージーランドの4・1%、フランスの3・7%、アメリカの2・7%を上回る。豊かな自然や独特の歴史・文化を有する沖縄の観光地としてのポテンシャルを示す数値でもある。
政府は、観光振興を「少子高齢化時代の経済活性化の切り札」と位置付け、03年に観光立国を宣言した。中国に象徴される成長著しい東アジアからの誘客促進を含め、沖縄が国内を牽引(けんいん)する資格を十分に備えていることを自覚したい。
もちろん懸念材料もある。入域観光客の消費単価をみると、09年度は6万6403円で08年度の7万2458円から約6千円減少し、1987年の9万2060円の約7割の水準にとどまる。平均滞在日数も3・75日にすぎない。
仮に滞在日数が1日延びると、183万人の観光客が増えた場合と同じ経済波及効果が期待できるとの推計も提示された。興味深く示唆に富むシミュレーションだ。
修学旅行の民泊体験やリゾートウエディングなど幸いにもヒントの芽はある。観光客から評価が高いホスピタリティー(もてなしの心)を基本に、新たな観光資源の発掘や、価値観の異なる観光客に応じた多様なメニューをいかに創造するか。魅力的な観光地づくりは、県民が住みよい地域づくりにほかならない。「もう1泊」の処方箋づくりに向け県民の知恵と熱意を結集したい。
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