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原子力教育 危険性教えなければ洗脳だ2011年9月25日 
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 政府のやることがますます信用できなくなってきた。福島第1原発事故の発生前、文部科学省と経済産業省が小中学生向けに作製したエネルギー副読本に、原子力発電所の安全性が誇大に記述されていたからだ。
 小学生用の副読本「わくわく原子力ランド」、中学生用の副読本「チャレンジ!原子力ワールド」は「事故が起きないように、また起こったとしても人体や環境に悪影響をおよぼさないよう、何重にも対策が取られています」、「大きな地震や津波にも耐えられるよう設計されている」などと強調している。原発は生命をも脅かす危険な施設であり、安全性を疑問視する専門家が少なからず存在することには全く触れていない。
 内容の不適切さは福島原発事故の経過を見れば明らかだ。誇張と虚飾に満ちていると言っても過言ではない。原発推進の国策を円滑に遂行するため、児童・生徒を洗脳する狙いが透けて見える。
 この間、国の言い分を妄信し原発は安全だと思い込んでいた国民も少なくなかった。純真な子どもならなおさらだ。副読本の説明を真に受けてしまうだろう。事実に反する「安全神話」を植え付けようとした文科省、経産省の手法は悪質の一語に尽きる。副読本は県内の小中学校にも配布された。
 文科省は沖縄を含む全国の教職員を対象に原子力発電に関する研修を実施し、原発への抵抗感を払拭(ふっしょく)しようと努めてきた。参加した県内の教師は「洗脳のようだった」と明言している。原発や高レベル放射性廃棄物処分施設などを建設しやすい環境を整えるための工作と見ていい。
 「原子炉は放射性物質を閉じこめる五重のかべで守られている」といった副読本の記述は希望的観測にすぎなかった。義務教育のころから原子力について理解させたいという意図は分かるが、一方的なプロパガンダ(宣伝)では教育とは言えない。原子力エネルギーについて学習させたいなら、原子炉や核燃料再処理過程で起こり得る危険にも言及しないとバランスを欠く。
 2008年改訂の新学習指導要領で原子力が重視されたからといってこのような偏向した教材は許されない。根本的に見直すべきだ。
 副読本はいつ、誰の指示で作られたのか。政府は、発行の経緯と責任の所在を明確にしてほしい。


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