八重山地区で子どもの誕生を一手に担う県立八重山病院(石垣市)で、産婦人科医を確保するめどが立たないとして、3月中旬以降に出産を予定する妊婦に石垣島以外での出産を呼び掛ける事態になった。4月に着任予定だった産婦人科医4人のうち2人の赴任が7月ごろまで延びたためだ。
4〜6月に八重山病院で出産予定の妊婦は87人に上る。島外で子どもを産むのは経済的にも精神的にも大きな負担だ。2医師が赴任するまでの間、別の産科医を招請できないのか。県は、八重山での医療水準を維持するため、あらゆる手だてを講じてほしい。
この間、県は本土在住の医師の招待視察といった事業に取り組み、離島や北部地域の医師確保に一定の成果を挙げてきた。だが、今回のように、個人の都合で赴任が遅れるだけで診療態勢は立ちゆかなくなる。医師が1人でも欠ければ途端に支障を来すのが離島医療の実情だ。
産婦人科医の不足は沖縄に限ったことではない。昼夜を問わない過酷な勤務環境を敬遠し、比較的楽な診療科を志望する医師が増えているという。医療ミスで訴訟を起こされるリスクが高いことも背景にある。国は、産科、小児科、脳神経外科など、繁忙な診療科の勤務医を手厚く処遇する仕組みを整えるべきだ。
民間の医療機関が多い都市部と違い、離島の公立病院は住民にとって生命線といっていい。安心して子を産み育てる上で、その充実は欠かせない。
とりわけ県立八重山病院は、石垣市だけでなく、竹富町や与那国町の妊婦も受け入れている。竹富町は石垣市での出産を前提として石垣島への船賃半額と宿泊費2千円を補助している。与那国町も妊婦に航空運賃を助成しているが、竹富町同様、対象は与那国―石垣間だけだ。
どうして八重山の人たちはふるさとで子を産めないのか。たとえ一時的であっても、地域外での出産を強いるのは理不尽としか言いようがない。
まして八重山は国境に面した地域だ。そこで医療体制が崩壊すれば人口流出を招き、コミュニティーの維持、国土保全にも支障を来しかねない。国も前面に立って医師の確保に努めるべきではないのか。政府と県が緊密に連携して代替要員の産科医を確保してほしい。
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