民主、自民、公明の3党が国家公務員給与の削減で基本合意した。0・23%の引き下げを求めた人事院勧告(人勧)を実施した上で、さらに2012、13両年度は平均7・8%削減するという。
野田佳彦首相は消費税増税へ向け「身を削る」姿勢をアピールしたいようだが、思いとは裏腹に政局の火種になるだろう。民主党を支える連合が求める労働基本権の付与が棚上げされているからだ。
与野党は、不利益を被る個々の公務員も納得する一致点を見いだしてほしい。見切り発車は禁物だ。
公務員には、労働基本権のうち、労働条件や待遇などを団体交渉で決める「労働協約締結権」が認められていない。その代わり人事院勧告に基づき給与水準を定める。
民主党と連合は昨年、人事院を廃止し協約締結権を認める「公務員制度改革法案」成立を条件に給与7・8%削減に合意していた。
自民は「(公務員は)労働協約権が手に入り、好き放題できる」(茂木敏充政調会長)と権利付与に否定的だ。人勧制度が形骸化し、労使交渉による給与改定で人件費が膨らむとの懸念もある。
公務員給与削減分の年間約2900億円は東日本大震災の復興財源となる。財政危機の折、公務員給与の期限付き削減は国民と痛みを分かち合う観点から致し方ない。復興財源となれば、なおさらだ。だからと言って公務員の声を無視し合意を押し付けるのは乱暴だ。
民主党は子育て手当、高速道路料金無償化など09年衆院選マニフェスト(政権公約)を次々とほごにしている。首相は総人件費2割削減や天下り根絶を含む公務員制度改革の初心を貫くのか、まず決意と展望を明確にすべきだ。
「省益あって国益なし」とも揶揄(やゆ)される非効率的な縦割り行政、歳出の無駄遣い、特別会計や独立行政法人の統廃合などにメスを入れる抜本的な行政改革が必要だ。ただ組織改革と職員の処遇の問題を混同しないよう冷静さも求められる。協約締結権の付与はその一例だ。
公務員給与削減は地方公務員にも波及する可能性がある。経済が低迷する中、公務員給与削減は景気をさらに冷え込ませる危険も伴う。役所に便乗し企業が過剰な賃金抑制に走らないかも懸念される。
社会的影響の大きい公務員給与の削減問題を政争の具にしてはならない。国会に慎重審議を求める。
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