12日投開票の宜野湾市長選へ向け、沖縄防衛局が同市内に有権者の親族がいる職員のリストを作成し、真部朗局長が選挙介入と受け取られかねない「講話」を行った問題で、真部氏の更迭が濃厚となっている。本人も事実関係を認めており、懲戒処分は免れない。
複数の法律家が有権者リスト作成や「講話」について、国家公務員法違反や公職選挙法違反、個人情報保護法違反、自衛隊法違反などの可能性を指摘。組織ぐるみの選挙介入となれば、徹底して膿(うみ)を出し尽くさねばならない。
米軍普天間飛行場移設が争点となった過去の名護市議選や県知事選でも、防衛局長から職員に投票呼び掛けがあったとされる。真部氏には、自らの良心に照らし、国民に真実を語る責任がある。
「講話」について、防衛省内では「公務員の中立性や公正性を保つように指示しているのであれば公務性を含む」などと真部氏擁護論がある。藤村修官房長官の認識も、記者会見で「逆にいいことだという評価が出るかもしれない」「国家公務員が地位を利用するのは公職選挙法違反だが、そういうことがないための活動はあり得ていいのでは」と述べた。
詭弁(きべん)だ。防衛省は選挙管理委員会ではない。こんな理屈が通るなら、原発やダム建設の是非など国策が争点となる首長選挙に官僚はいくらでも介入が可能となる。
真部氏の講話を、例えば「政府方針と関係なく自分の思想信条に照らし自由に投票すればよい」と善意に受け止める職員がいるだろうか。言葉を取り繕えば、防衛省の不誠実さを際立たせるだけだ。
本来業務ではない有権者リストを作成したこと自体、個人情報保護法違反に当たるとの指摘もある。防衛省の人権意識の欠如、主権者をないがしろにする姿勢は極めて重大な問題だ。防衛局の一連の動きは、政府方針への誘導を意図したと見るのが自然だ。防衛省は今自浄作用を発揮できなければ、永遠にその機会を失う。そんな使命感こそ国民は期待しているはずだ。
官僚側が問題の矮小(わいしょう)化を企図しているなら、田中直紀防衛相ら政務三役は「沖縄県民、国民の防衛省への信頼を回復するためには膿を出し尽くさねばならない」と毅然と振る舞うべきだ。官僚組織は、自ら国民の離反を招く致命的な過ちをこれ以上犯してはならない。
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