貴重な亜熱帯の自然が残る奄美・琉球の世界自然遺産登録に向けた本格的な動きを歓迎したい。
環境省は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界自然遺産の国内候補地である「奄美・琉球諸島」について、政府推薦の前提となるユネスコ暫定リストへの早期掲載を発表した。早ければ2013年1月の掲載を目指す。
これまでは国立公園の区域指定などのステップを踏んでいたが、早期掲載により、登録に向けた機運を高める。良い意味での前のめりな対応だ。沖縄、鹿児島の両県の主体的取り組み、連携も待ったなしとなる。
国、地元の双方に、世界の宝として奄美・琉球の自然環境を守る責務の自覚と、持続可能な社会を形成する決意が問われる。
ユネスコの世界遺産は自然、文化、複合に分類される。183件の自然遺産は文化遺産725件の約4分の1で希少価値が高い。
奄美・琉球諸島は03年、「知床」「小笠原諸島」とともに候補地に選ばれた。知床は05年、小笠原は10年6月に登録されたが、奄美・琉球は推薦が見送られてきた。自然保護措置の厳格さが担保されていないことが理由である。
ヤンバルクイナやイリオモテヤマネコ、アマミノクロウサギなどの希少種が多く生息する沖縄本島北部(やんばる)、西表島、奄美大島などの生態系は十分に保護されているとはまだ言い難い。開発や外来生物侵入による生態系の乱れなど、課題も多岐にわたる。
登録には国立・国定公園の「特別保護地区」設定などが不可欠だが、保護規制がかかっていない。
7800ヘクタールもある広大な北部訓練場に国内法が及ばない点も大きなネックだ。東村高江で進むヘリコプター着陸帯建設は、自然保護と逆の矛盾した状況を生んでいる。
新たな訓練施設建設に歯止めをかけ、米軍基地に日本の環境法令を適用する必要がある。沖縄の行政、住民意思の表明も重要な要素となるだろう。
「顕著で普遍的価値」が認められ世界自然遺産に登録されれば、観光振興と文化の高揚に寄与することは間違いない。それは「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の文化遺産登録が裏付けている。
世界自然遺産登録は沖縄の悲願の一つである。その道筋は、真の経済社会的自立の在り方と密接に結び付く。沖縄社会を挙げて課題を解決する決意を固めたい。
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