米軍普天間飛行場代替基地建設に関する環境影響評価(アセスメント)の評価書に対する仲井真弘多知事の意見書は、辺野古移設を「環境保全上、特段の支障は生じない」とした評価書にほぼ全面的に反論している。辺野古周辺の「生活環境および自然環境の保全は不可能」と結論付け、現在の移設計画に環境面からも事実上「ノー」を突き付けた。県内で強まる反対世論のほか、米国内でも辺野古移設は実現不可能との見方が強まる中、環境保全の困難さという論点を鮮明に打ち出した。日米両政府が固執する移設計画のずさんさが浮かび上がり、実現可能性は一層薄れている。
防衛省・沖縄防衛局が県に提出した米軍普天間飛行場代替基地建設に関する環境影響評価書に対する知事意見は、冒頭、県外移設を求める仲井真弘多知事の政治姿勢から入る。普天間の辺野古移設と海兵隊のグアム移転などを切り離す米軍再編の見直しによって、政府が「普天間の固定化回避」を名目に辺野古移設を迫る姿勢を強める中、普天間の危険性除去への近道は「県外移設」とくぎを刺した。
環境影響評価に対する意見は通常、科学的見地から述べられる。下地寛環境生活部長は知事の政治姿勢を明示したことについて「移設問題が非常にクローズアップされていることも踏まえて、知事の基本的考え方が述べられている」と強調した。
■準備書との違い
2009年9月の民主党による政権奪取後、普天間移設に関して鳩山政権が移設先を検討していた同年10月13日、仲井真知事は辺野古アセス準備書に対する知事意見を政府に提出。普天間移設を「問題の原点は、普天間の危険性の除去」と評価書とほぼ同じ文言で強調しながら「一日も早い危険性の除去のため、やむなく県内移設を認めたところだ」との姿勢を示した。
だが、県内移設反対の県民世論の高まりを受け「県外」要求に方針転換した知事は、今回の知事意見で、移設先の名護市の強い反対に触れ「地元の理解が得られない移設案を実現することは事実上不可能」と指摘。県外移設が「合理的かつ早期に課題を解決できる方策だ」と述べ、準備書段階の立場との違いを鮮明に打ち出した。
アセスは「一般論として事業に対し地域のコンセンサスが得られている状況を踏まえて手続きが進められる」(下地部長)ものだが、その前提も大きく崩れている。
■埋め立てに打撃
今回の知事意見で、評価書の示す保全措置では「環境保全を図ることは不可能」と、事実上、現在の辺野古移設計画に「ノー」を突き付けた。
地元の理解が得られない計画は実現不可能とする県外移設要求の政治的根拠に加え、環境保全に限っても辺野古移設を認められない理由が新たに加わった。
今回の知事意見は県アセス条例に係る飛行場設置事業分の25項目175件を付したが、3月末にアセス法に基づく埋め立て事業分の知事意見も提出することで、さらに多くの問題点を指摘することになる。
今回の知事意見に対し政府がどう補正するか不透明だが、政府の対応は、アセス手続きの次に予定される埋め立て承認申請に対する知事判断に影響する。
辺野古移設を県側が受け入れる可能性はますます乏しくなっている。
一方、防衛省幹部は知事意見の内容について「そもそも政府が進めようとしているもの。辺野古建設で厳しい意見が来ても、変更することはないだろう」と想定内との見方を冷ややかに示し、環境問題を軽視する政府の姿勢をにじませた。
(内間健友)
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